メニュー

作曲者別

アフリカの女(ヴァスコ・ダ・ガマ) マイアベーア
  L'Africane (Vasco da Gama) Meyerbeer


作品紹介(アフリカの女)

マイアベーアは、「グランドオペラの様式を確立した作曲家」と言われています。

「グランドオペラ」とは、19世紀フランスで絶大な人気を誇った様式で、5幕からなる長大な構成、壮大なストーリー、優美でドラマティックな音楽、そしてバレエや合唱を伴った大規模で豪華なオペラを指します。

しかし、一世を風靡したグランドオペラもその後衰退し、現在はあまり上演されることがありません。「長すぎる」「壮大で上演困難」というのが大きな理由かもしれませんが、それにしてもこの偉大な作曲家マイアベーアは、不当に忘れられ過ぎていると思うのです。

「アフリカの女」はマイアベーア最後のオペラで、インドに航海した探検家ヴァスコ・ダ・ガマを描いた長大な作品ですが、私は初めて聞いた時も、全く初めてのような気がしませんでした。
どこかで聞いたようなメロディーばかりなのです!

ヴェルディのドン・カルロやアイーダ、グノーのロメオとジュリエット、ビゼーのカルメン・・・等で耳に親しんでいるメロディーとよく似た旋律があちこちに登場します。もちろん、マイアベーアの方が先に作られています!
マイアベーアがいかにその後のイタリアとフランスのオペラの基礎を築いたか、特にヴェルディが音楽の面からもドラマ構成の面からも、どれほどマイアベーアの影響を受けているか、この作品を聴けば思い知るはずです。ヴェルディを尊敬しマイアベーアなんて知らないと言ってるアナタ!そんなこと言ってる場合じゃありませんよ。

このオペラで有名なのは、4幕でヴァスコがインドに上陸してその楽園たる景色に感激して歌う「素晴らしい国 おおパラダイス」 (Pays merveilleux!...O paradis)がテノールのアリアとしてよく歌われますが、他にも素晴らしい歌が山のようにあります。

1幕のイネスのアリア(さようなら美しい海岸)、1幕後半の長大な議会の大合唱、2幕の獄中でのセリカの子守唄、ヴァスコとセリカの2重唱、2幕ラストの美しい7重唱、4幕でのヴァスコとセリカの2重唱、5幕でのネルスコとセリカの2重唱・・・などなど素晴らしく美しい曲の洪水、まさに絢爛豪華、これぞグランドオペラ!という傑作で、こんな素晴らしい曲があったのかと驚くほどです。

ただ難点は、他の多くのオペラと同様この作品も「三角関係」がテーマになってるのですが、普通は三角関係であっても主役同士の固い愛は揺ぎないのが常識なのに、何故かこのヴァスコ氏は、両方の女性(白人のイネスと有色人のセリカ)と愛を歌うのです。・・・なんでやねん!

これは私の勝手な想像ですが、きっとヴェルディもこれを見て「なんでやねん!」と思ったから、アイーダではラダメスがアムネリスの誘い(愛してくれたら命を助けてあげる)を3度キッパリ拒絶するシーンが生まれたのじゃないかしら・・・

しかし、主役はやはり「アフリカの女」セリカであり(ほんとはインド人だけどね)、愛しても愛しても報われないと薄々知りながら、それでもヴァスコに尽し、愛しぬいて死んでいくセリカは、蝶々夫人にも似て健気で、胸を打ちます。

(注:追記)
最近知ったことですが、この作品をマイアベーア自身は「ヴァスコ・ダ・ガマ」のタイトルにする予定だったのが、初演前にマイアベーアが亡くなってしまい、短縮等の改作をされたうえ、タイトルも「アフリカの女」に変えられ、それがずっと上演され続けてきたそうです。
ごく最近(2012年)、マイアベーア自身の初稿版が「ヴァスコ・ダ・ガマ」のタイトルでユルゲン・シュレーダー氏により復刻され、CD録音もされており、2015年にはベルリン・ドイツオペラで上演されています(下記に動画載せています)。



あらすじ

探検家ヴァスコ・ダ・ガマは、提督の娘イネスと愛し合っていましたが、航海の計画を議会に承認してもらえなかったことに腹を立て、侮辱罪で投獄されてしまいます。しかし獄中、アフリカから連れ帰った奴隷のセリカから喜望峰を回る航路を教えてもらい、これでインドに行けると感激。セリカはヴァスコを密かに愛していたのです。一方イネスはヴァスコを救うために王室議長のドン・ペドロとの結婚を了承し、ヴァスコを自由の身にします。

ドン・ペドロとイネスはヴァスコから貰いうけた奴隷セリカらを連れてインドを目指しますが、セリカと共に奴隷となっていたネルスコの陰謀で難破してしまいます。助けに来たヴァスコが逆にドン・ペドロに処刑されそうになるのを、イネスが嘆願しますが、そこに乗り込んで来たインド人に、全員捕らえられてしまいます。

インド人は白人たちを一人残らず処刑しようとしますが、ヴァスコを愛するセリカ(実はインドの女王だった)は、「彼は私の夫」と言って助命します。感激してセリカに愛を告げるヴァスコですが、そこに生き延びたイネスが現れ、彼女のヴァスコへの深い愛を知ったセリカは、二人を逃がし、自らの命を絶ちます。



お薦め動画(アフリカの女)

滅多に上演されるオペラではありませんが、YouTubeにはドミンゴとクンデの2種類あり、全曲動画もありますので、どうぞたっぷりご覧ください。



●「素晴らしい国 おおパラダイス」 "Pays merveilleux!...O paradis" プラシド・ドミンゴ
1987年 サンフランシスコオペラ



●1幕 イネスのアリア「さようなら美しい海岸」"Adieu, mon doux rivage" ルース・アン・スヴェンソン



●4幕 ヴァスコとセリカの2重唱 プラシド・ドミンゴ、 シャーリー・ヴァーレット



●全曲 2013年 フェニーチェ歌劇場 グレゴリー・クンデ
(1幕)04:00~、(2幕)53:45~、(3幕)1:30:45~、(4幕)2:01:55~、(5幕)2:49:10~



初稿版 「ヴァスコ・ダ・ガマ」 by ユルゲン・シュレーダー

●2015年 ベルリン・ドイツオペラ  トレイラー
ソフィ・コッシュ、ロベルト・アラーニャ、ニノ・マチャイゼ



●2幕 牢獄にて ネルスコの嘆き~ヴァスコとセリカの2重唱(5:35~)



●4幕 インドにて ヴァスコとセリカの婚礼~愛の2重唱
2重唱の前に、従来の版にはなかったヴァスコのワルツが挿入されています。(6:40~)



▲ページトップに戻る

・ メニュー ・

トップページ

フランスオペラ ベスト5
ファウスト(グノー)
ホフマン物語(オッフェンバック)
カルメン(ビゼー)
ペレアスとメリザンド(ドビュッシー)
ウェルテル(マスネ)
他にも名曲が・・・
ロメオとジュリエット(グノー)
マノン(マスネ)
タイス(マスネ)
真珠採り(ビゼー)
ラクメ(ドリーブ)
ハムレット(トマ)
華麗なるグランドオペラ
トロイアの人々(ベルリオーズ)
悪魔のロベール(マイアベーア)
アフリカの女(マイアベーア)
 (別名:ヴァスコ・ダ・ガマ)
ユグノー教徒(マイアベーア)
ユダヤの女(アレヴィ)
サムソンとデリラ(サン=サーンス)
ル・シッド(マスネ)
エロディアード(マスネ)
ウィリアム・テル(ロッシーニ)
知られざるフランスオペラ
ミニョン(トマ)
美しきパースの娘(ビゼー)
ベアトリスとベネディクト(ベルリオーズ)
ベンヴェヌート・チェッリーニ(ベルリオーズ)
ミレイユ(グノー)
イスの王様(ラロ)
ドン・キホーテ(マスネ)
サンドリヨン(マスネ)
20世紀のフランスオペラ
ルイーズ(シャルパンティエ)
アルテュス王(ショーソン)
ペネロープ(フォーレ)
スペインの時(ラヴェル)
子供と魔法(ラヴェル)
カルメル会修道女の対話(プーランク)
シラノ・ド・ベルジュラック(アルファーノ)
アッシジの聖フランチェスコ(メシアン)
マリウスとファニー(コスマ)
フランスのオペレッタ
天国と地獄(オッフェンバック)
 (原題:地獄のオルフェ)
美しきエレーヌ(オッフェンバック)
パリの生活(オッフェンバック)
ジェロルスタン大公妃(オッフェンバック)
ラ・ペリコール(オッフェンバック)
エトワール(シャブリエ)
いやいやながら医者にされ(グノー)
番外編(オペラ以外)
キリストの幼時(ベルリオーズ)
ファウストの劫罰(ベルリオーズ)
ロメオとジュリエット(ベルリオーズ)
レリオあるいは生への回帰(ベルリオーズ)
放蕩息子(ドビュッシー)
ロメオとジュリエット(ミュージカル)
ノートルダム・ド・パリ(ミュージカル)
シェルブールの雨傘(ミュージカル)
パリの喜び(バレエ)オッフェンバック
フランスオペラの名歌手
ナタリー・デセイ (S)
アンナ・ネトレプコ (S)
ニコライ・ゲッダ (T)
グレゴリー・クンデ (T)
ロベルト・アラーニャ (T)
ブライアン・イーメル (T)
ジョゼ・ヴァン・ダム (B)
その他の歌手(女声)
その他の歌手(男声)
その他
日本語字幕付き全曲オペラ動画
フランス語のイタリアオペラ
オランジュ音楽祭
オペラ用語辞典
オペラ初演年一覧
オペラQ&A
カラオケ de フランスオペラ
プロフィール
お問合せ
リンク集

▲ページトップに戻る 

inserted by FC2 system