ベンヴェヌート・チェッリーニ(ベルリオーズ)
Benvenuto Cellini (Berlioz)
作品紹介 (ベンヴェヌート・チェッリーニ)
このオペラを全く知らない人でも、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」という管弦楽曲を知っているクラシックファンは多いと思います。短くて華やかな曲なので、かつてはオーケストラの演奏会の第一部でよく取り上げられていました。
「ローマの謝肉祭」は、この「ベンヴェヌート・チェッリーニ」中の旋律をそのまま生かして作られた曲で、このオペラの初演が失敗に終わり、顧みられず消えゆくことを惜しんだベルリオーズ自身が再利用したものです。
なので、このオペラを初めて聴いても、ちょっと初めてのような気がしないはず。(1幕のチェッリーニとテレーザの2重唱や、謝肉祭のランチキ騒ぎの曲などが使われています)
ベルリオーズ自身はこのオペラを傑作と信じて疑わなかったそうですが、 作曲されてから170年以上たつ現在まで、上演も録音もごく稀にしかありません。
でも、同じベルリオーズのオペラ「トロイアの人々」が雌伏150年の後、数年前についにブレイクしていますし、この作品も近年上演が増えていますので、今後再評価される可能性は十分あると思います。
奔放で型破りな天才チェッリーニを描いただけあって、とてもエネルギッシュなオペラで、序曲からしてベルリオーズらしい美しく強力なメロディーが賑々しく次々繰り出され、全編を通してパワフルな歌と合唱が続きますが、しかし同時にもうひとつのベルリオーズの特徴である、分裂気味のメチャクチャさも随所に炸裂していて、その点で良くも悪くもベルリオーズだなあ~、と思わせる作品です。
主役のチェッリーニが何しろ放蕩者ですので、下手をすると単なるワガママ野郎の話に終わってしまいがち。なので、このオペラに説得力と観衆の共感を持たせるためには、タイトルロールに魅力的なカリスマテノールが必要だと思います。求む、チェッリーニ!
あらすじ (ベンヴェヌート・チェッリーニ)
16世紀のイタリアの実在の彫刻家、ベンヴェヌート・チェッリーニが主人公。教皇よりペルセウスの彫像の注文を受けたチェッリーニが、恋人のテレーザをライバルの彫刻家フィエラモスカと争ったり、次々に巻き起こるトラブルに大騒ぎを起こしながら、約束の期限までに彫像を完成できるのか?というドタバタが描かれる。期限までに完成できなければ死罪、という中ギリギリ奇跡的に完成し、テレーザとも結ばれてメデタシとなる。
※詳しいあらすじはWikipediaをご覧ください → ベンヴェヌート・チェッリーニwiki
お薦め動画
●全曲(音声のみ) グレゴリー・クンデ
●1幕 チェッリーニとテレーザの2重唱(+フィエラモスカの3重唱)
2007年 ザルツブルク音楽祭(指揮:ゲルギエフ)
●1幕 テレーザのアリア 「愛と義務の間で」 アニック・マシス
●1幕 チェッリーニのアリア 「栄光は私の唯一の憧れだった」"La gloire etait ma seule idole" グレゴリー・クンデ
●2幕 チェッリーニのアリア 「荒涼とした山で」"Sur les monts les plus sauvages" ニコライ・ゲッダ
●ローマの謝肉祭