シェルブールの雨傘(ミュージカル)
Les Parapluies de Cherbourg
作品紹介(シェルブールの雨傘)
シェルブールの雨傘は、1964年のフランスのミュージカル映画で、カトリーヌ・ドヌーヴ主演でカンヌのグランプリを受賞した名作です。
もう半世紀も前の作品なのに、全く古さを感じない、良い音楽は本当に時代を超えるものです。
2014年、オペラを引退宣言したわれらのフランスの歌姫ナタリー・デセイが、このミュージカルの舞台に立つというので、楽しみにビデオを見ました。
パリのシャトレ座、指揮は作曲者ミシェル・ルグランご本人です!(50年後だというのに、全然お元気!)
幕が開いたその瞬間から、もうフランスの香りに圧倒され、ノスタルジーと、それだけではない新鮮な生気とに浸りました。
ナタリー目当てで見始めたけれど、しだいに目は主役(ジュヌヴィエーヴ)のマリー・オペールに釘付け!ジュヌヴィエーヴの設定と同じ、まだ17歳なの!!と驚くほど歌も演技も上手けりゃ、そりゃあもうフレッシュな果実のように奇麗!若いって素晴らしい~
ナタリーはどこから見ても立派な彼女の「お母さん」で、でも実際にお母さん世代で年相応のシワも獲得した彼女が、年相応の役を演じられるというのは、とても幸せなことのように見えました。オペラでは娘役を演じるしかなかった49歳の彼女が、自分で選択した役です。
恋人のギイ役は人気俳優のヴァンサン・ニクロが手堅く歌い、ジュヌヴィエーヴをもらい受ける宝石商役は、ナタリーの夫のロラン・ナウリ。彼も若い頃はカッコよかったけど、やはり年相応に髪が減ってオッサンになり、ナタリーとよい夫婦ですね。(その彼が、ジュヌヴィエーヴの方に求婚するから、「そっちかい!おっかさんの方でいいでしょ!」と突っ込みたくなりましたが・・)
この作品は、セリフが全て歌で歌われるのが特徴で、オペラのレチタティーボと似てるけど、でもジャズ風のメロディーにのったフランス語はとても軽やかで自然で、レチタティーボよりも画期的な気がします。全て歌、と言っても、ノートルダム・ド・パリのように歌のナンバーで次々つないでいくのとも違い、テーマとなるあの有名なメロディーが繰り返し登場し、その度に切なくなります。
ストーリーは、シェルブールで雨傘店を営む母と二人暮らしの17歳のジュヌヴィエーヴが、恋人のギイに召集令状が来て戦地に行っている間に妊娠を知り、でも連絡も途絶え生死も分からない男を待つことができず、苦しい生計を助けてくれるという宝石商の求婚を受け入れるが、数年後のクリスマスに偶然再会し、心を乱しながらもそのまま別れるという話。出征前に、「二人に子供が生まれたら、男の子だったらフランソワ、女の子だったらフランソワ―ズと名付けよう」と夢見ていた通り、ラストでそれぞれの子供に、フランソワ、フランソワ―ズと名付けられているのです。
※詳しいあらすじは、wikipedia でどうぞ。
お薦め動画
全幕動画が消えてしまったので、ダイジェスト動画のみですが。
作曲者ルグラン氏登場で拍手が湧きます。
●映画はこちら ちなみに映画では歌は吹き替えです。
●2007年3月 ルグラン氏来日時「題名のない音楽会」にて羽田健太郎さんと共にシェルブールの雨傘を演奏。喋りもユーモアががあって楽しいし、演奏は生き生き素晴らしい。ハネケンさんは亡くなられる直前ですが、感動的な共演です。