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作曲者別

ドン・キショット (ドン・キホーテ)  マスネ
   Don Quichotte (Massenet)


作品紹介 (ドン・キショット)

「あて書き」という言葉があります。演劇や映画で、先に主演俳優が決まっていて、そのイメージに合わせた役を書くこと。
オペラにも同様のことがあり、この「ドン・キショット(ドン・キホーテ)は、ロシアの伝説の名バス、シャリアピンのために書かれたそうです。
シャリアピンは、このマスネのドン・キショットの他にも、映画版のドン・キホーテ(音楽はイベールが作曲)にも主演しており、このキャラクターにはことのほか愛着を持っていたようです。

そういう大物スター歌手のために作られたオペラであり、また数少ない「バスが主役のオペラ」でもありますので、その後も幾多の大物バスによって歌い継がれてきました。ニコライ・ギャウロフ、サミュエル・レイミー、ルッジェーロ・ライモンディ、フェルッチョ・フルラネット、ジョゼ・ヴァン・ダム・・・ という錚々たる顔ぶれの録音がいずれもYouTubeにありますので、どうぞ聴き比べてみてください! しかしまあ、難役ですなあ・・

「ドン・キホーテ」は17世紀のイタリアの作家セルバンテスの小説で、騎士道を夢見る老人の珍冒険譚。このオペラでは、キショットが愛するドゥルシネのために盗賊から首飾りを奪い返しに行く道中が描かれているのですが、滑稽さと哀愁をもってして聴衆の共感を得るのは、並みの存在感では難しい役です。
しかも従者のサンチョ・パンサも道化のバリトンという低声オジサン2人組で、主要登場人物が3人しかいないのだから、その比重はドン・ジョヴァンニとレポレロの比ではありません。有名な、風車を巨人と思いこんで突撃し吹き飛ばされるシーンなども、現代にここで笑いをとるのは至難の業。

サンチョ・パンサ役には、フランスでは道化役で存在感抜群の名脇役、ガブリエル・バキエとジャン=フィリップ・ラフォンの2人がいい味を出してくれていますが、普通の歌手には難しい役と思います。(なおフランスには、テノールでも同様に「名道化役」として、ミシェル・セネシャルとジャン=ポール・フシェクールがいて、この4人がどれだけフランスオペラに独特の笑いををもたらし味わい深くしてくれたかわかりません!)

音楽は、冒頭のスペイン情緒溢れる賑やかなアンサンブルとドゥルシネのアリアが生き生きと華やかで特徴的ですが、その後はむしろ哀愁溢れるメロディーが多く、晩年のマスネの境地とドン・キショットが重なっているようです。
フィナーレのキショットのデス・シーン、しみじみした歌が特に有名ですが、その前、5幕の前の間奏曲のチェロ独奏が大変美しく、これなどはマスネの代表曲と見なされている「タイスの瞑想曲」と同様の、それのチェロ版ともいえる名独奏曲だと思います。


あらすじ (ドン・キショット)

スペインの町の祭日、美しいドゥルシネの求愛者たちが彼女を賛美する歌を歌うと、ドゥルシネが登場し「女が二十歳のとき・・」と魅惑的に歌い、「でも何かが足りないの」と淋しさを見せます。ドン・キショットがが痩せた馬に乗って従者のサンチョ・パンサと登場し、ドゥルシネに愛を告げセレナーデを歌うと、人々は哀れな老人と嘲笑します。ドゥルシネに、盗賊に奪われた首飾りを取り返してほしいと頼まれ、キショットは意気揚々と出発してゆきますが、道すがら、風車が回っているのを見て敵の巨人と思いこんだキショットは、馬にまたがり突撃して行き、羽に吹き飛ばされてしまいます。
めげずに馬を進めると、ついに盗賊団に遭遇、しかし2人はすぐに捕らえられてしまいます。殺されそうになっても動じずに神に祈りを捧げるキショットの姿に驚いた盗賊たちに、「正義のもとに遍歴する騎士だ。愛する人の首飾りを取り返しに来た」と堂々と告げると、盗賊のドンはすっかり感心してしまい、キショットに首飾りを返し解放してやります。

ドゥルシネは取り巻きの男たちにも飽きてしまい物憂くなっているところに、キショットが戻ってきます。取り戻した首飾りを渡すとドゥルシネは感激して彼にキスをし、世界一の英雄と讃えます。しかしキショットが厳かに結婚を申し込むと笑いだして拒否し、人々も嘲笑します。ショックを受けたキショットの姿を見て、優しい老人を傷つけたことに気づいたドゥルシネは「あなたの悲しみに胸痛み」と謝って二重唱になります。なおも嘲笑する人々に、サンチョは「彼こそ愛に溢れた偉大な聖人だ!クズどもは笑うがいい!」と必死に主人をかばい、2人は館を後にします。
星の澄んだ夜、森の中でキショットは最期の時を迎えています。サンチョに約束した夢の島の話をしながら、ドゥルシネの歌声を遠くにききながら、忠実なサンチョに見守られて静かに息をひきとります。



お薦め動画 (ドン・キショット)

●1幕冒頭 スペイン情緒に溢れる闊達な音楽で幕が開き、ドゥルシネに求愛する男たちが賑やかに歌います。
2010年 モネ劇場 指揮:ミンコフスキ、演出:ロラン・ペリー、ジョゼ・ヴァン・ダム



●1幕 ドゥルシネのアリア 'Quand la femme a vingt ans' 「女が二十歳になったとき」
2010年 モネ劇場 シルビア・トロ・サンタフェ



●1幕 ドン・キショットのセレナーデ "Quand apparaissent les étoiles" 「星が現れるとき」
2000年 パリ・オペラ座 サミュエル・レイミー



●4幕 夢の島の話をするキショットとサンチョ~ドゥルシネとの二重唱~サンチョの啖呵
ルッジェーロ・ライモンディ、ガブリエル・バキエ
ライモンディの美声、バキエの名演技がお見事!



●4幕 キショットとドゥルシネの二重唱 "Oui, je souffre votre tristesse" 「あなたの悲しみに胸痛み」
1978年 ニコライ・ギャウロフ、レジーヌ・クレスパン  2人とも素晴らしい声!



●5幕 間奏曲~フィナーレ 2000年 指揮:ジェイムス・コンロン、サミュエル・レイミー、ジャン=フィリップ・ラフォン
間奏曲のチェロのソロが美しい。このパリ・オペラ座の若いチェリストの繊細で優しい音色の素晴らしいこと!



●フィナーレ 2010年 モネ劇場  ジョゼ・ヴァン・ダム
ヴァン・ダムの母国ベルギーでの引退公演です。



●シャリアピンの録音(デスシーン) 1927年 ドン・キショットとサンチョ・パンサの両方を一人で歌っています。



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