エトワール (シャブリエ)
    L'Étoile (Chabrier)


作品紹介(エトワール)

フランスのオペレッタというと、日本ではオッフェンバック以外殆ど知られていませんが、この「エトワール」はヨーロッパではたびたび上演される隠れた傑作です。
オッフェンバックよりさらにもっと軽快で、シャンペンの泡のようにスッキリ仕上げた、エスプリに富んだ洒落たオペレッタで、聴いた誰もが「なんでこんな素晴らしい作品が埋もれているのだろう」と思うことでしょう。

中でも、主人公のラズリ(青年ですが通常はメゾソプラノが演じます)が歌う「エトワール(星)」というアリアが有名で、よくコンサート等で歌われます。貧しい行商人のラズリが、未来を夢見て「小さな星よ、僕の未来を告げておくれ」と歌うロマンティックな歌です。
でもこの曲以外も機知に富んだ美しい歌が目白押しで、楽しく笑って後味も爽やかなとても素敵な作品です。

シャブリエはフォーレと同世代の作曲家ですが(ラヴェルやドビュッシーより少し前で、彼らの先駆けとなった世代)、元々は公務員で作曲に専念したのはほんの10数年間だったそうで、この「エトワール」以外では有名な作品は、狂詩曲「スペイン」などあまり多くありません。
しかし、そのいかにもフランス的なキラキラ輝く軽やかで粋な音楽は大変魅力的です。

あらすじ(エトワール)

とある国の王ウフは、明日のお祭りのメインイベント「串刺しの刑」に処する罪人を探しにお忍びで町に出ますが、国民は先刻ご承知で罪に触れないよう細心の注意を払っていてなかなか見つかりません。
隣国からの使節エリソンたち4人組が登場、その中の美人のラウラに一目ぼれした行商人の青年ラズリ。しかし彼女が人妻と知ってショックを受け、そこに来たウフ王を腹立ち紛れにひっぱたいてしまい、「串刺しの刑の罪人が見つかった!」とウフ王は大喜び。しかし占い師のシロコが「王とラズリは同じ星の運命なので、ラズリが死ねば王も24時間後に死ぬ」と宣告。

驚いたウフ王はラズリを城に連れて行き歓待しますが、そこへエリソンたちが謁見に訪れ、ラズリは彼が恋敵だと訴えます。ウフ王はラズリとラウラの逃亡を手助けし自分の婚礼のパーティが始まりますが、エリソンは護衛官にラズリを見つけて射殺するよう命じたと言い、そこに銃声が! 「ああ、1発の銃声が!」というパーティの客たちの悲劇的な歌から一転、「・・・でも私たちには関係ないわ、飲んで食べましょう!」と軽快な陽気な歌でフィナーレとなるところが絶品です。(「ご愁傷さまのフィナーレ」 下のベルリンの動画の最後)

ラズリが死んだと思ったウフ王は、自分もあと24時間の命と嘆き悲しみ、ラウラとの結婚式を急ぎます(ラウラは実は人妻ではなく、本来ウフと結婚する予定だった王女)。しかし死の時間が来てしまい結婚式を中断して死の覚悟をしますが、あれ?
死なない。そこへ助かったラズリが登場、大喜びしたウフ王が結婚式を再開しようとすると、ラズリが「ラウラが結婚するなら僕は自殺する!」とわめき、それは困ると大騒ぎのうちに幕。


お薦め動画(エトワール)

●2010年 ベルリン国立歌劇場 抜粋  (ラズリ)コジェナー、(ウフ王)ジャン・ポール・フシェクール
コジェナーが妙にマニッシュなラズリでカッコイイですねえ。(ちなみに指揮はコジェナーの旦那様サイモン・ラトルです)
性格派テノール、フシェクールはフランスからの客演です。見事なハマり役だこと!
真面目そうなドイツ人たちが、粋でお洒落なフランス物を熱演してくれてて、なんか嬉しいわ〜



●ラズリのロマンス 「エトワール(星)」  コレット・アリオ・リュガ 1986年 リヨン国立歌劇場
コレット・アリオ・リュガはリヨンで活躍したフランスのメゾで、オッフェンバックのオペレッタや、メリザンド等の名演を多く残しています。
このエトワールの上演はLDでは発売されていたので、是非DVDで再販してほしいです!



●2014年 ネーデルランドオペラ  演出:ロラン・ペリー
演出もイケてるし、オールフランス人のキャストは全員芸達者でフランス的コミカルさ満点、とても楽しい素晴らしい公演です!歌もセリフ部分も美しいフランス語が堪能できます。
ラズリ:ステファニー・ドゥストラック、ウフ王:クリストフ・モルターニュ、ラウラ:エレーヌ・ギルメット (フランスにはこんな素晴らしい歌手がいっぱいいるんじゃないの!)


●「僕はラズリ」 "Je suis Lazuli" ステファニー・ドゥストラック


変なオッサン、ウフプルミエ役モルターニュ登場シーンの抜粋。トンデモ感が炸裂しててお見事!



●序曲(後半部分)  2014年 モンペリエ国立歌劇場予告編



●キスの四重唱(音声のみ) リヨン国立歌劇場



●音声のみ全曲 ロイヤル・オペラハウス 指揮:マーク・エルダー
ウフ王:クリストフ・モルターニュ、ラズリ:ケイト・リンジー



●おまけ シャブリエ作曲のオペラ「グヴァンドリーヌ」Gwendoline 全曲
非常に珍しい作品の音源を見つけたので載せておきます。(音声のみ。音質悪いですが・・)



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