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ホフマン物語(あらすじ) → おすすめ動画(シューダンス版) → 新版(エーザー版・ケイ版) → 版の経緯(年譜)
ホフマン物語 (オッフェンバック) Les contes d'Hoffmann ( Offenbach )
オッフェンバックの「ホフマン物語」は、まったく ”面白すぎる!” オペラです。
音楽もストーリーも豪華絢爛、荒唐無稽。こんなに面白いオペラは他にないのでは?
詩人ホフマンが恋した3人の個性的なヒロイン(機械人形、歌手、娼婦)と、運命の糸をひく3人の悪魔、そして彼を見守るミューズが織りなす幻想的なストーリーに加え、音楽も最高に充実していて、エンターテイメントと芸術性を見事に兼ね備えた、ワクワク感満点の傑作です。
3つの恋はすべて破れ、観衆に、悪魔に、あるいは恋人本人に嘲笑されて哀れに終わるのですが、そんな愚かなホフマンは最高に愛すべき私たちの分身です。絶望に泣き崩れ、嘲笑されるホフマンを見ながら、なぜかじんわり温かな気持ちにさせられる、独特の世界があります。
有名な人形の歌(シャンソン・ド・オランピア)やホフマンの舟歌(バルカロール)をはじめ、オッフェンバックの天才が結晶したような素晴らしい曲がめじろ押しで、楽しみどころが山盛り! オペレッタ作家として名声を得、「シャンゼリゼのモーツァルト」と讃えられていたオッフェンバックは、最後の作品としてこのオペラの作曲に心血を注ぎ、命をすり減らし、初演を見ることを切望しながら未完のまま死んでしまいました。ピアノ譜や全体のスケッチはできていたものの、散逸したものも多く、そのため様々な版が存在します。
20世紀に主に上演されていた版(シューダンス版)は、ストーリーが省略されていたり補作者が作った曲が入っていたりしたのですが、近年自筆稿が次々と発見され、それを元にできるだけオッフェンバックの意図に沿った新版が作られて上演されています。(エーザー版、ケイ版、ケック版など) → 版の経緯(年譜) 旧版でも十分素晴らしいけれど、オッフェンバックの原曲に忠実な新版はさらに深みがあって感動的。 プロローグのミューズの歌や、目玉の3重唱、ジュリエッタや二クラウスのアリア、最後の合唱などの名曲が復活し、以前はやや意味不明気味だったストーリーも、芸術神ミューズに愛される詩人の話として完結しています。
荒唐無稽にみえる恋話も、全ての人間の愛と欲望のメタファーとして見事な造型になっていて、時空を超えた普遍性を持ったストーリー。けっして怪奇物や恋愛オムニバスなどではありません。 元々オペレッタでは笑いと軽妙さが真髄だったオッフェンバックらしく、登場人物はみな愛すべきキャラクターであり(悪魔も愛嬌があって憎めない!)、全編は優しい温もりに溢れています。
なお、通常、4人の悪魔(悪魔3人+リンドルフ)は同一のバスが歌いますが、3人のヒロイン(+ステラ)は同一のソプラノが歌うこともあれば、3人の別のソプラノが歌うこともあります。一人の歌姫の七変化を聴くのも楽しいし、個性の違う3人の歌手の競演を聴くのも楽しく、どっちにしても楽しめます!
〜 あらすじ 〜
※幕の順番は、新版は「オランピア → アントニア → ジュリエッタ」 となっていますが、
私は旧来の順番 (お人形 → 娼婦 → 可憐な娘) に慣れ親しんでいるため、その順で記しています。
(プロローグ)
ルーテルおやじの酒場の開店前、ワインやビールの酒の精たちが陽気に歌い騒いでいます。そこにミューズが登場し、愛する詩人ホフマンを恋の情熱から取り戻すために「気ちがいじみているけれど、天の持ち場を離れるわ」と歌い、ホフマンの親友二クラウスに変身します。
やがて酒場に来たホフマンは、恋人のステラ(隣の劇場で上演中のドン・ジョヴァンニのプリマドンナ)が来るのを待つ間にしたたか酔ってしまい、恋敵のリンドルフと舌戦(ダジャレの応酬)を繰り広げた後、他の客たちの求めに応じて、今までの失恋話を語り始めます。
3つの失恋話、それは、まるでタイプの違う3人のヒロインとの、奇想天外な恋物語です。
(1幕)
最初のヒロインはオランピア。機械仕掛けの人形(サイボーグ)なのです。
スパランツァーニ博士が開発し人形師コッペリウス(悪魔その1)が作った機械人形のオランピアをお披露目するパーティに来たホフマンは、間抜けなことに人形と気付かずに一目惚れしてしまいます。(魔法のメガネをかけさせられたせいでもあるのですが)
オランピアが歌う「シャンソン・ド・オランピア」(人形の歌)は、技巧派ソプラノ(コロラトゥーラソプラノ)の真髄が発揮される名曲中の名曲。カクカク動いたり、途中でゼンマイがきれて止まっちゃたりしながら歌う超絶技巧の歌は、もう抱腹絶倒の面白さ!(聴かせどころの高音部は、歌手が自由にメロディーを変えて歌うので、それも楽しみ)
パーティの客たちが「すご〜い! かわい〜い!」と大喜びする中、一人だけ人間と思いこんでうっとり聴き惚れているホフマンの愚かさ・・・。
(でもこれは、現代の、アイドルやアニメキャラに萌えてる男子たちの姿そのもの、ではないですか!)
やがて、オランピアにダンスを申し込んだホフマンは、機械の猛スピードに振り回され、目が回り、加速したお人形ちゃんは、最後にはコッペリウスにぶっ壊されて(!)しまいます。
「人形だったのか!!!」と絶望するホフマン、大笑いする客たち・・・・
(2幕)
有名な「ホフマンの舟歌」で幕が開きます。歌っているのは、2幕のヒロイン、ジュリエッタとホフマンに影のように従う親友の二クラウス(男性だがメゾソプラノ担当、美神ミューズが変身した姿)
ジュリエッタは絶世の美女の高級娼婦で、とんでもない悪女。
そんな悪女とミューズが、どうしてこんなに仲良く美しく、共に歌うのか?
まったくそこがオペラのいいところ、こんなに官能的な美しい舟歌がありましょうか!
場所はヴェニス。夜の歓楽街でホフマンは「優しい愛なんて嘘っぱちだ!」と歌っては酒を浴びています。
ジュリエッタは、男たちから影を奪ってダペルトゥット(悪魔その2)に売ることで、宝石を手に入れていました。彼女に恋し、影を失ってしまった数々の男たち。
そうとも知らずにジュリエッタに恋したホフマンも、影を奪われ、鏡の中から己の姿が消えて愕然とします。
(娼婦にぞっこん入れ込む男・・・、というのも、現代のキャバクラ通いの男子とそっくり、じゃあ〜りませんか?)
「ホフマンの舟歌」のバリエーションのメロディーでの、敵味方全員による絶望と悲しみと嘲りのアンサンブルが、見事なクライマックス!
ホフマンは、ジュリエッタの私室の鍵を争って恋敵シュレミールと決闘しますが、手を血に染めてまで鍵を手に入れ、彼女の部屋に行くと、ジュリエッタは従者と共にゴンドラに乗って、嘲笑いながら去っていきます・・
(3幕)
最後のヒロインはアントニア。今度こそ人形でも娼婦でもない、血の通った可憐な娘です。
音楽家の両親を持ち、類まれな歌の才能がありますが、胸を病んで歌うことを禁止されていました。恋人のホフマンに会うことも父に禁じられていたのですが、彼女に会いたい一心のホフマンが密かに訪れ、久々の再会に喜んだ二人は共に愛を歌います。
しかし、病状が悪いアントニアは息が切れ、戻ってきた父に叱られます。
病気を治すために・・とわかっていても、歌を諦めきれないアントニア。
そこに医師の姿をしたミラクル博士(悪魔その3)が現れ、アントニアの未練に火をつけます。
「おまえは、舞台での満場の客からの賞賛と、熱狂的な喝采を忘れられるのか!?
その若さと美貌と才能を、みすみす捨てるのか!?
ホフマンだってただの男、おまえの美しさになぞじきに飽きる。
そんな奴と結婚して家庭に入ってみろ、子供の世話で色香も褪せるぞ!」
まさに悪魔のささやき。
「いいえ私は愛を貫くわ!・・でも、ああこの誘惑をどうしたら断てるのでしょう、助けて・・・お母様!」
と亡き母に呼びかけるアントニアに、悪魔は幻想を見せます。
「・・・アントニア・・・」と聴こえてくるのは、亡くなった母の歌声!
「お母様!!」と驚くアントニア。
「可愛い娘よ、私の声が聞こえる? さあ歌いなさい、昔のように!」
という母の声にアントニアは目も眩み、衰えた体力も忘れて全身で歌い始めます。
「歌え!もっと歌え!」と嘲笑する悪魔との3人のアンサンブルの見事さ!
取り付かれたように歌い続けるアントニアは、最後には絶唱し、倒れ、こと切れます。
ホフマンの絶叫。
(ついでにこれも現代に置き換えますと・・・結婚だけではイヤ、自分の夢が諦めきれないわ!、という女性に振られてしまう男。そう、サエコちゃんとダルビッシュみたいですね〜!)
(エピローグ)
長い話の末に、ホフマンは酒場で酔いつぶれてしまっています。オペラが終演し、やっと来た恋人のステラにむかって、「あなたは、オランピア!?・・ いや、彼女は壊れた・・ ジュリエッタか?・・ 地獄に落ちたはずだ・・・ アントニア!?・・・ 死んだっ!!」
そんなホフマンを悲しげに見つめると、ステラはリンドルフ(3人の悪魔と同じ歌手が演じる)と出て行ってしまいます。
酔いつぶれ眠ってしまったホフマンに、二クラウスの姿から戻った美神ミューズが語りかけます。
「哀れなホフマン、もう狂おしい恋の夢は忘れなさい。あなたの涙を拭う友がここにいるわ。愛しているわホフマン、私を信じて!あなたは真の詩人に生まれ変わるのです!」
そして、登場人物全員による感動的な合唱 「人は愛によって大きくなり、涙によっていっそう成長する」で幕を閉じます
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