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作曲者別

ル・シッド (マスネ)
    Le Cid (Massenet)


作品紹介 (ル・シッド)

この作品はマスネにしては珍しい英雄物で、音楽も勇壮華麗なグランド・オペラ。
マノンやタイスのようなデカダンで瀟洒な音楽がマスネだと思っていると、こんな作品もあって、実はマスネは非常にバラエティに富んだたくさんのオペラを作っているんです。

「ル・シッド」とは「君主/征服者」という意味だそうで、スペインの騎士ロドリーグが主人公。日本では通常「エル・シド」と呼ばれている11世紀の実在の人物を描いた、フランスの劇作家コルネイユの同名の悲劇が元になっています。
歴史的英雄を題材にした、「ヒロイック、かつロマンティック」なオペラですが、近年は滅多に上演されることもなく殆ど知られていません。
2011年マルセイユでの上演がYouTubeにアップされていて、私もそれで初めて見ることができました。

フランスオペラにしては硬派で、出てくるのが軍人(オジサン)ばかりで、ヒロインのシメーヌもメゾでやや地味なものだから、主演のアラーニャ一人だけが華やかなオーラを発してカッコよく、まさに彼のザ・オンステージでした。彼が登場すると舞台の空気が一変し、スターを実感します。

特に3幕の「おお、裁きの主、父なる神よ (Ô Souverain, Ô Juge, Ô Père)」はコンサートなどで単独で歌われることもある有名な美しいアリアですが、まさしくアラーニャのためにあるような曲。声質といいフランス語の美しさといい完璧で、朗々と響きわたる輝く声が大変素晴らしく感動的です。

それから、同じく3幕の苦悩の中のシメーヌとの2重唱は、硬派のこの曲の中にあって、おお〜これぞマスネ! という耽美的な美しさがゾクゾクするほどです。この2重唱は、もっと歌われてもいいと思います。

フランスオペラの男性主役は、大抵「ダメ男」ばかりで、それはもちろん美学なのですが、でもたまにはヴェルディみたいな格好いいヒーローが見たい、という時にお薦めのオペラでありますね。
初演当時も、マダム達に人気があった作品なのだそうです。

ところで、この作品には、「グランドオペラ」の流儀にのっとって2幕に7曲からなるバレエが入っており、現在はその曲を吹奏楽用に編曲したものがアマチュアのブラスバンドなどでよく演奏されるようです。(下にオケ版の全曲を載せてあります) スペイン情緒に溢れた、華やかな曲あり、ノスタルジックな曲あり。

しかし7曲で20分近くもあり、現代のオペラ上演でそのバレエを入れるのは難しいのでしょう。この曲のバレエ上演は滅多にありません。(※下記、ドミンゴのワシントンの上演はバレエつきです)
グノーのファウストのバレエ音楽などと同じように、曲が短くてメロディックで手頃という理由でアマチュアブラス用の曲として生き残っているのが、グランドオペラのバレエ音楽なのですね。


あらすじ(ル・シッド)

若きロドリーグは王から騎士の称号を授与され、「おお高貴なる剣」を歌って栄誉に答えます。
ロドリーグの恋人シメーヌの父(伯爵)も近衛隊長に任ぜられるのを待っていますが、しかし任命されたのは彼ではなくロドリーグの父ドン・ディエグ。伯爵は驚き屈辱に震え、ドン・ディエグを罵倒します。
公衆の面前で恥をかかされたドン・ディエグは激怒して復讐を誓い、息子ロドリーグに復讐を委ねます。復讐の相手がシメーヌの父と知ったロドリーグは悩み苦しみますが、父の名誉のため決闘に挑み、伯爵を倒してしまいます。

シメーヌは父の死と、その相手がロドリーグだったことに2重のショックを受け、王にロドリーグの裁きを求めます。しかしそこにムーア人の宣戦布告の報が入り、指揮官にロドリーグが任命され、ロドリーグは死を覚悟で国のために戦うと誓います。
悲しみに泣くシメーヌの部屋を、ロドリーグが別れを告げに訪れます。最初は拒絶していたシメーヌも、ロドリーグの変わらぬ愛と戦場で死ぬ覚悟に、思わず「生きて帰ってきて」と応え、それが名誉に反することに戸惑いますが、ロドリーグは彼女の愛を信じて出征してゆきます。

野営地でロドリーグは部下たちに決死の覚悟を伝え、一人静かに神に祈ります(おお、裁きの主、父なる神よ)。とそのとき天から「ロドリーグ、勝利者たるべし」という聖ジャックの声を聞き、死ではなく勝利だと確信し奮いたって出陣します。

やがてロドリーグは戦死したとの報せが届き、皆落胆するのですが、それは誤報で敵からも「ル・シッド(征服者)」と呼ばれる程の活躍で勝利したロドリーグたちは誇らしく凱旋してきます。人々は歓喜で出迎えますが、彼はシメーヌへの罪の意識から自害しようとします。国王は裁きをシメーヌに委ねますが、本心は愛している彼女は結局許し、めでたしめでたし。



お薦め動画(ル・シッド)

●おお、裁きの主、父なる神よ (Ô Souverain, Ô Juge, Ô Père) 2011年 ロベルト・アラーニャ
フランスオペラのテノールのアリアの中でも名曲中の名曲、そしてアラーニャの名唱です。



●ロドリーグとシメーヌの2重唱  ロベルト・アラーニャ、ベアトリス・ユリア・モンゾン
このデュエットはマスネの真髄です!アラーニャの”太陽の声”と、とろけるように甘いフランス語が美しい。



●同じくロドリーグとシメーヌの2重唱  2015年 パリで再演されました。ロベルト・アラーニャ、ソニア・ガナッシ
これも素晴らしい! 究極の甘美です



●ル・シッド登場シーン 「おお、聖なる剣」



●シメーヌの父ちゃんと知りつつ決闘の末刺してしまう・・・



●ラストシーン、シメーヌがロドリーグを許しメデタシメデタシ。
こんだけ思いっきしのハッピーエンドは、フランスオペラには珍しいですね。



●ル・シッド全曲 2011年マルセイユ歌劇場   ロベルト・アラーニャ、 ベアトリス・ユリア・モンゾン



●ル・シッド全曲 1999年 ワシントン プラシド・ドミンゴ  こちらは中世演出のグランドオペラ然とした上演です。
バレエも入っていて華やかで素晴らしいです!(バレエは 1:00:30~)



●シメーヌのアリア「泣け泣け、わが瞳よ」 マリア・カラス 1962年



●ル・シッド バレエ組曲(7曲)

第1曲:カスティリャーナ(カスティリアの踊り)・・・カスタネット入りの華やかな曲
第2曲:アンダルーサ(アンダルシアの踊り)・・・ゆったりした優雅な曲 (3:35〜)
第3曲:アラゴネーサ(アラゴンの踊り)・・・躍動感溢れる曲 (6:30〜)
第4曲:オーバード(朝の歌)・・・軽快な曲 (8:36〜)
第5曲:カタルーニャ(カタロニアの踊り)・・・異国情緒溢れる曲 (10:00〜)
第6曲:マドレーナ(マドリードの踊り)・・・フルートとイングリッシュホルンの重奏ソロが有名 (13:30〜)
第7曲:ナヴァレーサ(ナヴァラの踊り)・・・華やかな終曲 (17:45〜)



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