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作曲者別

スペインの時 (ラヴェル)
     L'heure Espagnole (Ravel)


作品紹介(スペインの時)

ラヴェルのオペラというのはレア物に属すると思いますが、日本では小澤征爾さんと大野和士さんがこの「スペインの時」をよく取り上げているおかげで、観た!聴いた!という方が結構多いようです。で、多くの方の感想は、「面白そうだけど・・・・よく解らん」というのが正直なところでしょうか。

1時間に満たない1幕もののコメディで、ストーリーは「時計屋の奥さんが、亭主の留守中に浮気する」という他愛無い話。物語というよりは、なんか落語の一席、って感じがします。

ラヴェルの一般的な印象派としてのイメージ、オーケストラ曲やピアノ曲での、色彩感に溢れ、ガラスのような澄みきった深い哀しみを湛えた曲と、このオペラのドタバタ感のあるコメディーのギャップにも最初はとまどいます。

私が思うに、ラヴェルは既にヴェルディやワーグナーで頂点を極めてしまっている劇的なオペラと同じようなものを作ろうという気にならなかったのではないでしょうか。しかも幻想的な印象派ならではのオペラも、ドビュッシーに先にやられてしまった・・・ それでこういう、音楽が「洒落」を表現するようなコメディーを思いついたのではないでしょうか。
時計屋さんの様々な音、チクタクとか、ギーッとか、クックーとか、キンコンカ〜ン、とかも音楽の中にとりこまれ、オーケストレーションの魔術師ラヴェルの戯画的な世界がパラリと広げられています。

でも、それでもフィナーレの登場人物全員によるいかにもオペラ的な5重唱を聴くと、ああ、やっぱりラヴェルはオペラが好きで、オペラを作りたかったんだな、とホロリとしてしまいます。



あらすじ(スペインの時)

時計屋のトルケマダの店に、ロバ引きのラミ―ロが懐中時計の修理を頼みに来ます。しかし時計屋の妻コンセプシオンが、「役所の大時計の時刻合わせに行く時間よ!」と亭主をせきたて、亭主はラミ―ロにここで待つように行って出かけていきます。

あら困った、週に1度きりのこの自由時間に愛人と逢引するのだけが私の楽しみなのに、客がいては・・・ そこに愛人のゴンサルヴェが詩を詠じながらやってきます。妻はラミ―ロに知られないよう、愛人を大時計に隠して、力持ちのラミ―ロに愛人ごと寝室に運んでもらいます。しかしゴンサルヴェは詩作に夢中でちっともことに及んでくれず、時間がないのにと妻はイライラ。そこへ中年の銀行家イニゴが妻を口説きにやってきてもう一つの大時計に隠れますが、太った腹がつかえて出れなくなってしまいます。

コンセプシオンは、そんな使えない2人の浮気相手よりも、さっきから大時計を何度も2階に上げたり下ろしたりを軽々とやってのけるラミ―ロの逞しさにビビッ!ときて、彼を誘って寝室に上がります。そこへ亭主が帰ってきて、ゴンサルヴェが慌てて時計に隠れようと蓋を開けると、中にはイニゴが。亭主はうろたえる間男2人に首尾よく時計を売り付けます。

時計から出られなくなったイニゴを3人がかりで引っ張ってもダメだったのに、力持ちラミ―ロはヒョイと引っ張り出し、そして登場人物5人全員での5重唱で賑々しく幕を閉じます。「ボッカチオの名言さ、恋人はあまたいれど、役に立つのはただ一人。ラバ引きの出番だ!」


お薦め動画(スペインの時)

お薦め動画は、何といっても本場パリ・オペラ座の上演。
歌手も演出も全員フランス人による、ザ・ナショナルオペラなのに、指揮だけ外国人(小澤征爾)なんですよ。彼はそれだけこのオペラの大家なんですねえ。

歌手は5人ともフランス人ですから最高です。しかも皆、味のある実力派のいい歌手ばかり!
奥さん役のソフィー・コッシュは、最近メトのライブHDデビューして急に知名度上昇しましたが、元々真面目そうなキャラながら不貞妻を熱演。亭主役のジャン・ポール・フシェクールは抜群のコメディ役者で私は大ファンです。間男役のヤン・ブロンは伸びやかな甘い声ととぼけた芝居がピッタリ。ロバ引きのフランク・フェラーリはパリ・オペラ座出場回数歴代ナンバー1の実力派、銀行家アラン・ヴェルヌもいい声です。

ロラン・ペリーの、いつもながらにマンガチックながら詩情溢れる演出で、スペイン情緒よりはフランス印象派らしさがよく出ている演奏だと思います。

●全曲  2004年 パリ・オペラ座  指揮:小澤征爾、 演出:ロラン・ペリー
ソフィー・コッシュ、 フランク・フェラーリ、 ヤン・ブロン、 ジャン・ポール・フシェクール、 アラン・ヴェルヌ



●こちらは、同じ演出で2012年のグラインドボーン音楽祭の予告編。指揮は大野和士です!
歌手の皆様のインタビューで、「カズシは母国語でないのに言葉をよく解っている」と褒められてます。大野さんは「ハバネラのリズムがコンセプシオンのテーマになっていて、とてもチャーミングでコケティッシュ」と解説しています。



●もう一つは、もっと以前のやはりグラインドボーン音楽祭の上演で、DVDにもなっていました。 こちらも見事な演出で、メルヘン仕立てでスペイン情緒も際立っていますね。
全曲 1987年 グラインドボーン音楽祭  フランソワ・ルルー (9本の動画のプレイリストです)



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