ルイーズ (シャルパンティエ)
     Louise(Charpentier)


作品紹介(ルイーズ)

シャルパンティエといっても同名のバロック期の作曲家とは別人で、もっとずっと後のギュスターヴ・シャルパンティエという、マスネに師事した作曲家です。
ルイーズの初演は1900年ですから、ドビュッシーのペレアスとメリザンドとほぼ同時期、20世紀初頭の作品ですね。

パリの街に生きる庶民の姿を描き、「最もパリらしいオペラ」と言われたりもするそうです。
「最もパリらしい・・」と言えば、普通はマノンとかボエームが浮かびますが このルイーズは、主人公のルイーズがお針子(服飾会社にお勤め)で隣の家に住む恋人のジュリアンが詩人(自称)・・という設定がボエームと全く同じで、なおかつシャルパンティエはマスネの弟子なので、マノンに似た雰囲気もあります。

そんな二つの要素を兼ね備え、それでもやはりマノンやボエームよりも20世紀の空気があり、モンマルトルの息吹を感じ、フランス映画のような、あるいはミュージカルのような洒落たオペラです。

作品中で最も有名なのは、3幕の「その日から」"Depuis le jour"というアリアで、家を飛び出したルイーズが恋人と暮らすモンマルトルのアパルトメントからパリを見下ろしながら、恋の喜びと希望を歌います。ソプラノのアリアとして人気があり、コンサート等でよく歌われます。
喜びと希望の歌でありながら、哀愁に満ちた素敵な歌です。「その日から」というのは、愛を知った時からということで、愛を知ることは喜びと同時にたくさんの哀しみも知ることなのだと思います。
※「その日から」の歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています。

そのアリアの後のルイーズとジュリアンが自由を歌い上げる2重唱、その後モンマルトルのボヘミアンが集まってきて騒ぐ合唱、「愚者の王」が歌う美を賛美するアリアと続くシーンも大変素晴らしい。これが「最もパリらしい」だなあ、と思う切なくも生き生きとした音楽です。(下のコトルバス&ドミンゴの音声がその部分です)

また、この作品の隠れた主役がルイーズのお父さん。可愛い娘がろくでもない男と家を出てしまった、幼いころあんなに愛らしかった大切なルイーズが、パリの魔力に捉われて出て行ってしまった、「Ah!・・・Paris!!」というお父さんの嘆きで終わります。(お父さんは切ない!)

シャルパンティエの作品で知られているのはこのルイーズくらいで、しかもルイーズの中でも「その日から」一曲だけが有名なのですから、究極の一発屋と言えます。(ルイーズが成功した後に、続編として「ジュリアン」というルイーズの恋人を主役にした作品が作られていますが、失敗作で上演されることはないそうです)
しかしそれでも、ルイーズは100年以上も演奏され続け、日本でも数年前に初演されていて、世紀の変わり目の詩情に溢れたパリを伝えてくれています。

この作品はプレートルのCDが名盤として有名です。フランスの香気を放つ素晴らしいプレートルの指揮、可憐で瑞々しくひたむきなコトルバスのルイーズ、いつもながら誠実で上手いドミンゴ。見事な脇役セネシャル。これを聴くとなんという名作!と思うけど、他の演奏でも必ずしもこうというわけにはいきません。
特に素晴らしい3幕の音声を下に載せていますので、是非お聴きください。



お薦め動画(ルイーズ)

●全曲  2007年 パリ・オペラ座  ミレイユ・ドランシュ、ポール・グローヴス、お父さんはジョゼ・ヴァン・ダムです。
歌とは関係ないけど、3幕のモンマルトルシーンで、リボンの曲芸みたいなのするお姉さんが素敵だわ〜



●3幕(音声のみ)  「その日から」 〜 ルイーズとジュリアンのデュエット 〜 モンマルトルシーン
1976年 指揮:プレートル  名演と名高いドミンゴとコトルバスの録音です。
コトルバスの歌う「その日から」は、可憐な小鳥のようで素晴らしい。彼女は本当にフランス物がピッタリです。
「愚者の王」役のミシェル・セネシャル(テノール)も、なんという感動的な名唱!



●全曲 1992年 指揮:アルミン・ジョルダン、グレゴリー・クンデ、メアリー・ミルズ



●その日から ”Depuis le jour”  マリア・カラス  楽譜つき

※「その日から」の歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています。



●その日から ”Depuis le jour”  アンジェラ・ゲオルギュー  1988年
スターになる前の若き可憐なアンジェラ。最初の結婚前の旧姓(Angela Burlacu)が表記されています。

※「その日から」の歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています。



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