マスネのその他のオペラ
Other operas of Massenet
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マスネのオペラは、日本ではマノン、ウェルテル、タイスの3曲くらいしか知られていませんが、19世紀の超人気オペラ作曲家だった彼は、実に30曲を超えるオペラを作っています。洒落た作風のオペラが一世を風靡すると共に、彼はパリ音楽院の教授として多くのフランスの作曲家の指導もしており、まさにフランスを代表する大作曲家の一人です。
日本では上演が少ないため、「今では忘れられている」などと言う人もいますが、ヨーロッパでは今も様々な作品がたびたび上演され、YouTubeにいろーいろあるんですよ!
しかも驚くほどバリエーションに富んでいる!マノンのような洒落たデカダンな作品から、宗教曲のようにストイックな作品、絢爛豪華なグランドオペラ、暗いヴェリズモ風の作品、はたまたコミカルな楽しい作品・・・と、なんでもござれ。
フランスオペラの伝道師としてはこれを紹介しないわけにはいきませんが、後で見ようと思って溜めこんでるのも多いので、紹介文をつけて1ページに昇格できるまで、ここでまとめて掲載いたします。
マスネは本当に素晴らしいメロディーメーカーで、心に響く甘く美しい旋律といい、色彩的で華麗なオーケストレーションといい、もっとずっと評価されてよい作曲家なのですが、何が欠点といったら、歌劇中にしばしば冗長なシーンがあることかもしれません。
特に多くの作品に共通しているのが、主役がなかなか出てこない!冒頭はたいてい脇役のどうでもいいシーンだったりするんです。
しかし、私が思うにこれは、当時の習慣として劇場に遅れてくる人のための措置で、1幕の最初は観ない人率が高かったからなんじゃないでしょうか。
だからマスネのオペラは、最初つまんなくても、主役が出てくるまで我慢してくださいね!
その後は超盛り上がりますから〜
ラオールの王 Le roi de Lahore
インドを舞台にした、ラオールの王様アリムと尼層シータの恋の物語。
●2005年 フェニーチェ歌劇場 シータとカレド(アリムの召使)の2重唱
エスクラルモンド Esclarmonde
若き美貌の女王(かつ魔法使い)エスクラルモンドの、夫選びの大メルヘンスペクタクル。
●全曲 1992年 トリノ王立歌劇場
●トゥーランドットも真っ青の、お姫様の強烈なアリアです。ペンダチャンスカ22歳の時とか。
●エスクラルモンドとローランの愛の二重唱 サザーランド、ジャコモ・アラガル
ノートルダムの曲芸師 Le Jongleur de Notre Dame
登場人物がすべて男声という非常に珍しいオペラ(合唱には女声あり)。
人間の精神がテーマになっていて、オペラ版「世界にひとつだけの花」って感じ?
孤児の辻芸人の若者ジャンが、修道士修行の中で無知な自分を嘆くが、最後には曲芸という彼の業を神に祝福されて死んでゆくという話。
●この動画、後半のガルシア(テノール)のダンスの見事さには驚愕します。男性オペラ歌手がこんな風に踊るのは前代未聞では?
●全曲(コンサート形式) 2007年 モンペリエ音楽祭(フランス)
シェリュバン Cherubin
「シェリバン」とは、フィガロの結婚のケルビーノ君のこと。彼が青年に成長した後の恋の物語。
●2006年 ミッシェル・ブリート、 パトリシア・チョーフィ
テレーズ Therese
テレーズ(メゾ)が旦那と愛人の間で苦悩する、という、ウェルテルに似た話。
●1989年 ザグレブ
クレオパトラ Cléopâtre
●全曲(音声のみ) 2002年 モンセラ・カバリエ
マリー・マグダレーヌ(マグダラのマリア)
オペラではなくオラトリオですが、大変美しい曲です。「マグダラのマリア」とは聖書に出てくる重要な女性で、悔悛してイエスに従い、十字架にかかる彼を見届けています。(聖母マリアとは別人です) マスネの宗教曲はとても素晴らしい。
おまけ マスネ歌曲 「エレジー」
Roberto Alagna アラーニャのマスネは絶品です。
ドキュメンタリー「マスネ、その人生と音楽」
1999年