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ミニョン(トマ) あらすじ  STORY



あらすじ(ミニョン)

※原作はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター修行時代」ですが、ここではトマのオペラのあらすじを記載しています。


(1幕)

ハープと木管が奏でるノスタルジックな序曲の後、老いた吟遊詩人ロターリオが竪琴をつまびきながら歌います。
「あてもなく嵐のままに彷徨い続ける・・・あの子はきっと生きている、愛しい娘スペラータ! あの子を探して今日も彷徨う・・・」

町の人たちは「不幸で頭がおかしくなってしまった、可哀想に」と同情しますが、やがて「今日は日曜日!陽気に飲もう!」と忘れてしまいます。そこへジプシーの旅芸人一座が登場し、芸を披露し始めます。「次はミニョンだ、さあ踊れ、さあ!」と座長に促されても、疲れたミニョンは踊れません。

「あれは女の子? 男の子?」「どっちでもないよ、ミニョンさ!」と人々に笑われ、ますます踊ることを拒否し、親方に激しく叱られます。ついにムチで打たれ始めたのを見て、通りかかったヴィルヘルムが思わず止めに入ります。「やめろ!これ以上は僕が許さない!」とミニョンを庇うと、「わかった、しかしその分は誰が払ってくれるのかな?」と言う親方に、高みの見物をしていた女優のフィリーヌが投げ銭を放って手助けします。

思いがけない救いの手に「誰かしら?」と感激するミニョン、「止めずにはいられなかった!」というヴィルヘルム、「可哀相な子よ」と同情するロターリオ、成り行きに興味をひかれるフィリーヌと同僚のラエルト、そして親方との6重唱が美しく歌われます。

ラエルトはヴィルヘルムに「勇気を持って助けるとはご立派だ。僕たちは劇団員だが、一緒に飲みませんか」と誘います。
ヴィルヘルムは「僕は大学を抜け出して鳥のように自由に世界を旅し、20歳を謳歌している。途中で愛に出会えたらと夢見ているが見つからない」と自己紹介すると、「気に入った!でも僕が結婚に失敗したから言うわけじゃないが、恋なんかにだまされるなよ」と答えます。
「でも、さっきバルコニーで美しい女性に愛をささやいていませんでしたか」「フィリーヌのことか!?へっ!あんな気まぐれで不実で、月のように心が変わる女なんて!」と笑い飛ばします。

そこにフィリーヌが現れ、「あら、他に何か言うことは?」と美しい瞳でにらむと、ヴィルヘルムは「なんて美しい! あなたのその美しい瞳を見れば、彼の言うことなんて嘘だとすぐわかります!」とひと目でまいってしまいます。
「女が浮気だというなら、男はどうかしら? 愛されるだけの器量がないのに、女は不実だと嘆くだけではないかしら」とラエルトをピシャリとやりこめ、「美しさを競いましょう」と歌ってますますヴィルヘルムを魅了します。

彼らと別れた後、ミニョンがやってきて先ほど助けてくれたお礼を言います。
「可哀想だったね。君の名前は?」
「ミニョン。みんなそう呼びます」 (注:ミニョンとは、フランス語で「可愛い」の意)
「年は?」
「わかりません、誰も数えていないから」
「お父さんは?お母さんは?」
「いません・・」

そして、ただ一つ覚えているのは、湖でさらわれたこと、と言い、故郷を思って歌います。
(※「君よ知るや南の国」の題で知られる歌です。全歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています)

オレンジの花が咲く国を知っていますか
黄金の果物が実り、赤い薔薇が咲き、鳥が歌い、蜜蜂が飛ぶ
陽光に溢れ、神に祝福された永遠の春のような場所・・・
ああ、そこにあなたと行けないなんて、私はそこで生き、愛し、死にたいのに! 
私を待ってくれる家があることを知っていますか
広間には大理石の像があって、中庭の木陰でダンスをします
澄んだ湖の水面をたくさんの小舟が鳥のように滑ります・・
ああ、そこにあなたと行けないなんて、私はそこで生き、愛し、死にたいのに!

「それはイタリアでは!?」 「分かりません・・・」

そこに親方が来て「この子が気に入ったのなら、今までかかった金を払ってくれるかな」と問われ、ヴィルヘルムは金を渡してミニョンを自由にしてやります。ミニョンが自由になったことをロターリオも喜び、竪琴を弾いて二人で「さようなら」と歌い合います。

フィリーヌの華やかな声がして、とりまきのフレデリックと共に現れます。フレデリックの伯父の男爵に、劇団の皆が屋敷のパーティに招待され、ヴィルヘルムも誘われて行くことになります。するとミニョンも「私も連れて行ってください」と頼み、最初は「君の父の役はできない」と拒んでいたヴィルヘルムも終いには折れて連れて行くことにし、ミニョンは旅芸人一座に別れを告げ、出発してゆきます。


(2幕)

男爵のお屋敷で、フィリーヌは身づくろいをしながら笑っています。「求愛者が列をなしてるわ。でも気を付けなきゃ、ここが見せ場よ。恋に酔った男たちをうんとからかって懲らしめてやりましょう」

ラエルトがやってきて、「豪華な部屋だな、でも男爵が鍵をもっているのだろ」と皮肉ります。美しいフィリーヌを見て「何てお美しい!優しい睫毛は我々を殺す矢だ・・・・どう?」とおどけると、「まあ、フレデリックかと思ったわ」とかわされます。
そこへヴィルヘルムも登場し、彼女の美しさを真剣に賛美します。彼についてきたミニョンが忠実につき従うのを見て、フィリーヌは「なんて献身ぶりかしら」と笑うので、ミニョンは気を悪くします。

ヴィルヘルムはすっかりフィリーヌの美しさの虜になった様子、フィリーヌもまた大勢の崇拝者に囲まれて「誰もが私の美しさを讃えるわ」と有頂天になっているので、ミニョンはますます悲しくなり、「ああ私は一人ぼっちだわ」と嘆きます。
「でもあの人に尽すのが望みなのだから、泣くのはやめましょう。彼女はお化粧をして奇麗になったのね、私も少ししていいかしら」と、フィリーヌの化粧道具で化粧を始めると夢中になり、奇麗になった自分に「これが私?」とうっとりして、衣装まで着け始めます。

そこへ窓から侵入してきたのはフレデリック。「彼女の部屋だ、胸が高鳴る。なんとか口説いて心を掴もう、彼女の愛を!」と歌います。
ヴィルヘルムが見つけて、「何をしている!?」「君こそ」と、お互いに恋のライバルであることに火花を散らし、剣を抜いて決闘になってしまいます。驚いて衣裳部屋から飛び出してきて止めるミニョン。フィリーヌのドレスを着て飾り立てた姿に、フレデリックは笑い転げます。

「なんて格好だ」と責めるヴィルヘルムにミニョンは謝りますが、もう子供では通用しないミニョンを見てヴィルヘルムは「僕を助けようとしてくれたのは感謝するが、人は何て言うか。もう君を守ってあげられない」と別れを告げます。(「さよならミニョン」)

さよならミニョン、元気を出して、泣かないで
悲しみもすぐに忘れる、君の若さなら
君の家族と祖国に出会えるよう、幸せに巡り合うよう祈って、別れよう
またいつか会える日を願って・・

二人が別れを告げているところに、フィリーヌが現れます。自分のドレスを着ているミニョンを咎め、「気に入ったのならあげてもいいのよ、誰もミニョンだとは分からないわ」と言うと、ミニョンはますますヘソを曲げてしまいます。「あの子は私に嫉妬しているんだわ」と冷笑するフィリーヌ。
ヴィルヘルムがフィリーヌに夢中なことにミニョンは悲しみ絶望します。その姿に同情したロターリオは、自分と同じように悲しく孤独だ、と歌います。

屋敷では、フィリーヌたちのお芝居シェークスピアの「真夏の夜の夢」が始まり、大喝采の中フィリーヌの「私は金髪のティタニア」の歌が聞こえてきます。素晴らしい歌声と美貌で取り巻きたちを熱狂させ、ブラボーの賛辞を一人占めにする女王のようなフィリーヌ。

と、そこへ「火事だ!」の声。可哀想なミニョンに同情するあまり、ロターリオが屋敷に火をつけたのです。
逃げまどう人々の中、ミニョンが逃げ遅れたことを知ると、ヴィルヘルムは夢中で炎の中に飛び込み、ミニョンを助け出します。


(3幕)

火事で重傷を負ったミニョンは、ヴィルヘルムとロターリオに付き添われてイタリアの屋敷で療養しています。ようやく熱も下がり静かに眠っているミニョンを見て、ヴィルヘルムは「神様、どうぞ彼女をお守りください」と祈ります。

屋敷の使用人が来て、「15年前にこのチプリアーニの屋敷の子供が湖でいなくなり、母は後を追って亡くなりました。父は子供を探して旅に出て、この屋敷にはもうずっと主がいません」と語ります。それを聞いたロターリオは、「15年? チプリアーニ?」と驚きます。

眠ったままヴィルヘルムの名を呼ぶミニョンを見て、ヴィルヘルムは彼女を愛しく思う自分に気づき、「純真な彼女は信じなかったが、無邪気な愛は熱い思いに変わっていた」と愛を歌います。

ミニョンは目を覚まし、「ここは何処? きれいな空・・・生き返ったような幸せを感じるわ。もう死も怖くない」と言うと、ヴィルヘルムは「愛の為に生きなくては」と励まします。お互いの愛に気づいた二人は、やっと思いを伝えあいます。

そこにロターリオが入ってきます。立派な服を着て別人のようになったロターリオは、ここは私の家だと言って思い出の品を取り出します。娘のスペラータが使っていたというスカーフや腕輪、聖書を見て、ミニョンは何かを思い出します。聖書を手に、かつて祈りを捧げる時に言っていた言葉を唱えると、ロターリオは「娘よ!」とミニョンを抱きしめます。

「ここはイタリアなのね!ああ、お父さん! 神様ありがとうございます。ここが私が生きたかった場所です」

(※ハッピーエンド版では、父娘とヴィルヘルムが幸福な大団円となり、ミニョンが死ぬ版では、ヴィルヘルムの腕の中で力尽きて幕となります)





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