真珠採り(ビゼー)
  詳しいあらすじ   STORY



あらすじ(真珠採り)

(1幕)

優美でノスタルジックな前奏曲で始まった後、舞台となるセイロン島の海辺で歌い踊る、真珠採りの漁師たちの男女による情熱的な合唱で幕が開きます。

ズルガが現れ、「さあ、みんな! 我々の長(おさ)を選ぶ時間だ」と告げます。漁師たちは「俺たちは、あんたを選びたい。ズルガに俺たちの王になってほしい!」と口々に言い、ズルガは皆の信頼に応え、部族の長になることを了承します。

そこにナディールが現れます。森の狩人のナディールは、しばらくこの島を離れて久しぶりに戻ってきたのです。長となったズルガは、かつての友ナディールとの再会を喜び、「また俺たちの仲間になってくれ」と温かく迎え入れます。

人々が去り、二人だけになったズルガとナディールは、再会をしみじみと喜び、友情を誓いあいながら、かつて一人の女性を巡って恋敵であった想い出語りを始めます。

(ナディールとズルガの2重唱「聖なる神殿の奥深く」)
「あれは我々の最後の旅の夜のことだった。聖なる神殿の奥深く、女神のような乙女が現れた。
ベールのかげからのぞいたその美しさに、人々はひれ伏し、俺たちは情熱に心を燃え立たせ、互いに敵となった・・・。
しかし今はもう、我々を分かつものは何もない。彼女は女神であり、俺たちは同じ運命を生きた生涯の親友だ!」


そこに、長老ヌーラバットが、村の守り神となる巫女を船に乗せて連れてきます。古くからのしきたりで、村を災いから守るため、昼も夜も祈りを捧げ続ける巫女。顔をベールで隠した彼女に、ズルガは「汝は生涯友も夫も持たず純潔を守り、ベールを取らず祈り続けることを誓うか。誓いを破れば死が待っているぞ」と問い、「誓います」と答えると、民衆は彼女を歓迎し、神に祈り祝福します。

しかし、彼女の声を聞き、戦慄するナディール。「あの声は、確かに彼女だ!」
(ナディールのロマンス 「耳に残るは君の歌声」)
「耳に残るは、確かに彼女の歌声。椰子の木に隠れて、森鳩の歌のように甘く響く。
ああ、なんと魅惑的な夜、聖なる悦び。おお、美しい記憶、狂おしい陶酔 甘い夢よ・・」


 ※ナディールのロマンスの歌詞とカタカナ読み、全訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています。

巫女もナディールに気づき、身を震わせます。
彼女はヌーラバットに連れられ、海を見下ろす祈りの岩の上に来ると、神に祈りを捧げ始めます(O Dieu Brahma)。
その神聖な歌声に村人たちは畏敬の念を抱き、その声を耳にしたナディールは再度、それがかつて愛したレイラであることを確信します。



(2幕)

真珠採りの船も帰還し、その夜の祈りの務めを終えたレイラに、ヌーラバットは「誓いを守りさえすれば、何も怖れずにゆっくり休むがよい」と言います。レイラは誓いを守る証に、かつて子供の頃、暴漢に追われて逃げてきた男を家に匿い、どんなに暴漢に脅されても守り通したこと、彼から感謝の念とともに真珠の首飾りをもらったことを語ります。

一人になったレイラは暗闇に怖れを感じ、「かつては暗い夜は、あの人が葉陰に隠れて見守ってくれて、安心して眠ることができた・・今もきっと、彼がそばに居るわ!」と歌います。(Me voilà seule, Comme autrefois)

そこにナディールの歌声が(舞台裏から)聞こえてきます。
「ああ神様!彼がここに!」と怯え、再会に打ち震えながらも「私はあなたに会わないと誓ったのです」と拒絶しますが、ナディールの情熱と運命の力に抗しきれず、甘美な愛の美しい2重唱になります。

そこにヌーラバットが現れ、密会に激怒して二人を捕らえます。人々も集まってきて、海が荒れる恐怖の夜に怯え、「彼らに死を!」と興奮する中、ズルガが現れ「やめろ!俺の命令に従うと誓っただろう。逃してやれ!」と寛大な命令を下します。
しかし、そこでベールを剥ぎとられた彼女の顔を見て、レイラであることを初めて知り、「ああ!彼女だ!なんという呪い!」と愕然とし、裏切られた怒りにかられて二人に死刑を宣告します。



(3幕)

ズルガは一人、後悔にさいなまれています。親友のナディール、誰より愛した女性レイラ、その二人に怒りのあまり死の宣告をくだした己を悔い、二人に赦しを請うモノローグを歌います。

そこにレイラが現れ、ズルガは美しい彼女を目の前にして喜びに震えます。しかし彼女はナディールの命乞いに来たのでした。レイラがナディールへの愛ゆえに嘆願すればするほどにズルガは失望し、嫉妬と怒りが燃え上がり、ついに処刑を決意します(レイラとズルガの2重唱)

時がきてレイラが連行される際、「私が死んだら、この形見を母に届けてください」と真珠の首飾りをズルガに渡します。それを見たズルガは「ああ! あの時私を救ってくれたのは彼女だったのか!!」と運命を知ります。

処刑場には既に人々が集まり、興奮して歌っています。
引き立てられて来たレイラとナディールは、覚悟を決め「ああ聖なる光よ、何も怖れるものはない、共に死のう!」と敢然と美しい2重唱を歌います。(O lumière sainte)

空が明るくなり、いよいよ夜明けと共に処刑という時になり、ズルガが駆け込んできて「見ろ!村が燃えている!急いで家族を救うんだ!」と叫びます。
人々が慌てて村へ去ると、ズルガは二人を救うために自分が村に火をつけたこと、レイラの首飾りを見て、彼女がかつての命の恩人であることを知ったこと、そして二人にすぐ逃げるようにと告げます。

二人が逃げた後、ズルガの裏切りを知ったヌーラバットらがズルガに襲い掛かります。
ズルガは倒れながらも、遠くから聞こえてくる逃げ延びたレイラとナディールの歓喜の歌を聞き、安堵して唱和します。

「私は誓いを守り、義務を果たした。二人は生きている! ああ、愛の夢よ、さようなら!」







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