美しきパースの娘 (ビゼー)
   詳しいあらすじ  STORY



あらすじ(美しきパースの娘)

(1幕)

舞台はスコットランドのパース。武具職人のアンリ(英名ヘンリー)が、同僚たちとトンカン、トンカン景気のいい鍛冶の音をたてて仕事に励んでいます。
「今夜はカーニバルだから、仕事はここらへんにして皆楽しんでおいで!」と仕事を切り上げ、アンリは一人になると恋人のカトリーヌ(英名キャサリン)を想い、早く彼女と一緒になりたいと歌います。

突然悲鳴がして、女が駆けこんできます。暴漢に襲われそうになった、助けて!と訴えるのは、ジプシーの女王マブ。アンリは驚きながらも匿ってあげると、彼女は「お礼に手相を占ってあげる」と彼の手をとります。
「あなたの恋人はとても浮気者よ。嫉妬するのも無理はないわね。でも誠実に愛すれば、聖ヴァレンタインの日に愛が実るでしょう」と告げます。

ドアがノックされるので、アンリは誤解されても困るとマブを別室に隠します。訪れたのは、カトリーヌと彼女のお父さんと、その弟子のラルフ。4人は今宵のカーニバルに思いを馳せ、青春を謳歌しようと歌います。カトリーヌに思いを寄せるラルフは、彼女とアンリの仲睦まじい姿に嫉妬します。

父とラルフが食事に戻ると、アンリはカトリーヌに愛を告げ、銀の花のブローチを贈ってヴァレンタインの日に結婚を誓ってほしいと尋ねます。カトリーヌは可愛らしく焦らしながらも、ブローチを受け取って愛を受け入れます。

そこへ一人の身分の高そうな男(ロスシー伯爵)が訪ねてきます。外で美しいカトリーヌを見染めて後をつけてきた彼は、アンリに不躾に剣の修理を頼み、彼が作業をしている間にカトリーヌを口説きにかかります。当惑するカトリーヌ、不機嫌になるアンリは執拗に迫る伯爵に我慢の限界に達し、殴りかかろうとしたその時、隠れていたマブが飛び出してきて止めに入ります。

「まあ、この人は誰!?」と驚くカトリーヌ、「ああ違うんだ!」と困惑するアンリ、「なんでこいつがここに?でもこれは好都合」とほくそ笑む伯爵、「私が悲劇を救ってあげたのよ」とソッポを向くマブの4重唱。カトリーヌはアンリがマブと浮気をしていたと思い込み激怒してしまい、弁明も耳にはいりません。

そこへ既に酔っ払ったカトリーヌの父とラルフが戻ってきて、「これはこれはロスシー伯爵」と挨拶するので、アンリ達は彼が領主様であったことにやっと気づきます。父は「ちょうど公爵にお願いがあるので後ほど伺います」と頼み、彼が帰って行った後、カトリーヌは怒りにまかせて、もうあなたは信じられないと叫び、さっき貰った銀のブローチを投げ捨てます。「まあ、こんな美しい宝石を」とそっと拾うマブ。


(2幕)

カーニバルが華やかに始まり、伯爵は「今宵はハメを外して大いに飲み、楽しもう!」と上機嫌、マブを呼びつけてジプシーの踊りを踊らせます。そして彼女に「今宵、館でパーティを催すから、カトリーヌに仮面をつけて来るよう説得してくれ」と命じます。自分という愛人がありながら、と浮気な伯爵に呆れながらも「仰せとあれば従いますわ、私って役に立つでしょ」と答え、しかし内心は復讐を誓います。

一方アンリは、怒ってしまったカトリーヌの誤解を解こうと彼女の家を訪れ、窓の下から切々と思いを歌います(これが「小さな木の実」の元歌のセレナード)。「どうか以前のように誠実な恋人の声に耳を傾けておくれ。君の瞳の輝きは僕の心の灯だ・・・」 しかし、心を込めた歌にも窓は閉まったきり応答はありません。

真夜中の鐘が鳴り、やむを得ず帰ったアンリと入れ替わりに、ラルフがやって来ます。カトリーヌに片思いする彼は、酔った勢いにまかせ、実ることのない虚しい愛を嘆き、我が身を自嘲して泣き笑いの歌を歌います。
するとそこに、伯爵の使者が現れ、家から出てきたカトリーヌを連れて行ってしまうではありませんか! 驚いたラルフは急いでアンリを呼び、アンリは慌てて彼らの後を追います。

しかし残されたラルフがふとバルコニーを見上げると、そこには去ったはずのカトリーヌが現れ、先ほどのセレナードを歌い始めます。これは夢か?と茫然とするラルフ。


(3幕)

伯爵の館では盛大なパーティが催されています。伯爵はこれから逢引する算段のカトリーヌを思って期待に胸を膨らませて歌っています。

仮面をつけたカトリーヌが現れると、伯爵は喜び勇んで口説きにかかりますが、これは実はカトリーヌに変装したマブ。彼女は仮面を取ろうとする伯爵を巧みにかわし、カトリーヌにご執心で甘言を浴びせる伯爵に嫉妬しながらの2重唱になります。(この2重唱のフルートのオブリガートが、アルルの女第二組曲のメヌエットの元歌) 私にも以前に同じ言葉を言って口説いたのに!と悔しがりながらも、拒絶はできず二人は別室に消えてゆきます。

そこに駆け込んできたアンリは、「なんて残酷な人なんだ、僕の愛を踏みにじって・・ ああ、死んでしまいたい」と悲嘆します。
やがて朝になり、「素晴らしい一夜だった」と満足気に現れる伯爵を見て、ますます絶望します。

そこに、カトリーヌの父が伯爵に面会を求めてやってきます。カトリーヌも一緒に晴れやかな表情で現れるので、彼女と一夜を過ごしたと思い込んでいる伯爵は、やや驚きます。父は、娘とアンリとの結婚の報告に来たとのことで、カトリーヌも昨日の喧嘩は私の愚かな誤解だったと分かったと言います。

しかしそこに居たアンリは彼女の不貞を訴え、婚約は解消だと叫びます。訳がわからず当惑するカトリーヌは伯爵に潔白を証明してくださいと言うものの、伯爵は「昨晩のことは二人だけの秘密にしよう」と言う始末。アンリは伯爵がつけている銀の花のブローチを見つけて、これが証拠だと言い、二人は絶望に陥ります。


(4幕)

アンリは、一人山の中で苦悩しています。そこへラルフと同僚たちが現れ、友人の忠告は聞くものだ、カトリーヌは潔白だから信じるようにと言います。おまえが言ったんじゃないか、とラルフに詰め寄るも、「僕は間違っていた、彼女は家に居たんだ」と答えますが、もはやアンリは信じられなくなっています。
言い争ううちに、「決闘で勝負を決めよう、どちらが正しいか天に委ねよう」ということになり、アンリとラルフが明朝決闘を行うことになってしまいます。

なんてことだ、ラルフには何の恨みもない、彼はカトリーヌの潔白を信じているだけなのに・・と思っていると、そこにカトリーヌがやって来ます。悩み疲れた姿で、もう一度あなたに会いたかった、という彼女と二人、「愛は傷ついて、魂は死んでしまった。黄金の子供の頃が夢のようだ」と歌います。

翌朝、その日は聖ヴァレンタインの日で、街には恋人に愛を告げる幸福そうな歌が響いています。
マブが駆け込んで来て、カトリーヌに話さなければ、と言いますが、カトリーヌの父は「もう遅い。娘は私の言葉も耳に入らない」と首を横に振ります。カトリーヌが放心した姿で出て来て「アンリは死んでしまった・・・私はもう花嫁になることはない・・・」と歌います。(狂乱の場)

その哀れな姿に皆が言葉をなくしていた時、アンリが駆け込んできます。マブから事情を聞いた伯爵が決闘を止めにゆき、無事だったのです。
正気を無くしているカトリーヌに、アンリはかつて窓辺で歌ったあのセレナードを歌いかけます。この歌は!?と起き上がるカトリーヌ。
さらにマブがまた偽カトリーヌの姿を演じて協力すると、「違うわ!本当のカトリーヌはここよ!」と正気を取り戻して、アンリと喜びの2重唱で幕となります。





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