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作曲者別

放蕩息子 (ドビュッシー)
      L'Enfant prodigue (Debussy)


作品紹介(放蕩息子)

このカンタータは、ドビュッシーがまだ無名の22歳のとき、フランスの作曲家の登竜門であるローマ大賞を受賞し、作曲家としてのキャリアを開始するきっかけとなった作品です。

ドビュッシー最初期の作品ですので、まだ彼独自の印象派の技法は生まれておらず、調性のはっきりした旋律的でロマン派的な音楽ですが、しかしその若々しい叙情性の中に、やはりドビュッシーならではの印象的旋律と響きが煌めいています!

ドビュッシーは、それまでの音楽技法とはまるで異なる、まったく独創的な「印象主義音楽」を生みだした天才で、音楽史上極めて重要な(ベスト10に入るくらいの!)作曲家だと思います。
「牧神の午後への前奏曲」や「海」、「ペレアスとメリザンド」、「前奏曲」など、従来にない音階や和声による斬新で革新的な作品が有名ですが、この放蕩息子はそれらの傑作が花開く前、その香りを湛えた蕾がぎっしり詰まったような美しい佳作だと思います。

「ペレアスとメリザンドにあったらいいのにな、でもないんだよな・・」と思っていた旋律的なアリアや、美しい二重唱、大盛り上がりの三重唱などが次々続き、ある意味ドビュッシーファンの夢が実現されたような作品でもあります! ドビュッシーは本来的にはとてもメロディーメーカーなのだ、と思うんですよね。

特に、リア(母親)が家を捨てた息子を想って歌うソプラノのアリア「来る年も来る年も虚し」が有名で、コンサートでよく歌われますが、他にもアザエル(放蕩息子:テノール)やシモン(父:バリトン)のアリアもとても美しく、また前奏曲と中間部の管弦楽部分をドビュッシー自身がピアノ連弾用に編曲したものも、今日もよく演奏されるようです。

ドビュッシーの音楽は、色彩的で茫洋としたアンニュイな音楽でありながら、湿り気を帯びた温かさが特徴で(ラヴェルは反対にガラスのような透明感を感じますが)、このカンタータも彼ならではの優しい温かみが溢れています。
フィナーレはクリスマスオラトリオを思わせるような、ffの三重唱で感動的に終わり、ドビュッシーの若々しい純真さを感じます。



あらすじ(放蕩息子)

「放蕩息子」というのは新約聖書(ルカの福音書)に出てくる話で、イエス様が「たとえ話」として人々に語った物語だそうです。

『ある所に兄弟がいた。弟の方が父に生前贈与を要求し、得た金を手に遠方へ行き、放蕩三昧をして一文無しになってしまった。食べ物にも窮し後悔して故郷に帰って来た弟を、父は大喜びで出迎え歓迎の祝宴を催した。兄は不満を述べるが父にたしなめられた』、という内容。
我儘を尽くした息子を父が手放しで受け入れたという喩えは、「神様は罪深い人こそ愛を持って受け入れる」、という意味なのだそうです。

このカンタータの登場人物は、リア(母)、シモン(父)、アザエル(放蕩息子)の3人。
ノスタルジックな前奏曲の後に、リアが帰らぬ息子を想って嘆き悲しむアリアを歌います。泣いてばかりいる母を父シモンは慰めますが、周囲を楽しそうな若い男女が賑やかに通り過ぎてゆきます。アザエルが現れ、幸福そうな人々を目にして己の愚行を悔い苦悩し、やがて倒れてしまいます。死にそうな姿の最愛の息子を見つけたリアに呼びかけられ、「母さん!赦してもらえますか」と問うアザエルをリアは一も二もなく抱きしめて歓喜の二重唱になります。そこへ近づいてきた父の姿を認め、アザエルは震えます。叱責を覚悟していたアザエルに、父は息子の帰還を喜び、愚かな息子を受け入れて神に感謝し、祝宴を設けようと告げます。アザエルは再び希望が生まれるのを感じ、3人によるイスラエルの神を讃える歌で幕を閉じます。



お薦め動画

●全曲 1981年 ジェシー・ノーマン、ホセ・カレーラス、フィッシャー=ディスカウ



●リアのアリア 「来る年も来る年も虚し」 息子の不在を嘆く母のアリアです。
イレアナ・コトルバス メト100周年ガラより



●同じくリアのアリア モンセラ・カバリエ東京公演より (日本語字幕が出ます)



●アザエル(息子)のアリア  後悔と懺悔の嘆きの歌ですが、とても美しいテノールのアリアです。



●4手のためのピアノ曲 「放蕩息子より、前奏曲、行列とダンス」
ピアノ連弾用にドビュッシー自身が編曲したもの。ベルガマスク組曲にとても似ていて、いかにもドビュッシー的です。




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