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作曲者別

子供と魔法 (ラヴェル)
     L'enfant et les sortilèges (Ravel)


作品紹介(子供と魔法)

この「子供と魔法」は、45分程の短い1幕物のオペラですが、「オペラ」とはいっても通常のオペラとはだいぶ違うように思います。

オーケストラの伴奏にのって歌手が歌う、という普通のオペラの形態ではなく、主役はオーケストラの音楽そのもので、歌手たちは「言葉担当の楽器」としてオーケストラの中に組み入れられているような印象です。「オーケストラの魔術師」ラヴェルが紡ぐ、華麗な管弦楽の音色の一部が声になっているのです。

小さな男の子が主役のお伽噺ですが、子供向きの作品ではありません。
ラヴェルには「マ・メール・ロワ」というお伽噺:マザーグースを題材にした名作があり(ピアノ曲、後に管弦楽化)、その幻想的な雰囲気はこのオペラによく似ています。

ラヴェルは生涯独身で子供もいませんでしたが、だからこそ彼にとって「子供の世界」は日常的なものではない、よりノスタルジックで謎めいた憧憬の対象だったのだと思います。

イタズラ坊やが、それまで悪戯してきた家具や動物や虫たちから逆襲されるというお話。ティーカップや時計や絵本のお姫様やトンボや蛙たちがしゃべったり歌ったり踊ったり・・・という幻想の世界を繰り広げます。 家具や動物たちの動作や声音は、歌手の歌だけではなく、声と一体となったオーケストラの音で雄弁に表されています。

庭のカエルが踊るシーンでは、「ラ・ヴァルス」のような洒落たワルツが奏でられます。陶磁器が踊るシーンではチャイナ風の音楽が流れ「ハラキリ、雪洲早川」なんていう日本語が飛び出します。最後に疲れて眠ってしまった坊やを皆が囲んで歌う合唱は、心の傷に沁みるような優しい哀しさがあります。

もともとはオペラとバレエを兼ねた作品として作られているのですが、オペラ歌手がバレエを踊ることは難しく、どちらかにならざるを得ません。しかしバレエ化することでこの作品の幻想的な真価が発揮されるように思います。お薦め動画に素晴らしいバレエ版も載せていますので、是非そちらもご覧ください。



あらすじ(子供と魔法)

宿題をしていないことをママに叱られた坊や(6〜7歳)は、ますます勉強をするのがいやになり、カップを割ったりリスを突いたり時計を壊したり、と悪戯を炸裂させます。「僕は悪い子だい!」とソファにひっくり返ろうとすると、ソファが「こんな子は座らせない」と動いて行ってダンスを踊り始めます。ビックリする坊やの前には、次々にかつて自分がイタズラした物たちが登場して恨み言を言い始めます。壊した時計、投げて割ってしまったティーポットとカップ、暖炉の火、破った壁紙の中の羊飼い、引き裂いた絵本の中のお姫様、踏みつけた教科書の中からは変なオッサンが出てきて、無茶苦茶な算数の問題を喚き散らします。

夜になり発情した猫の恋人たちの声に外へ出ると、月が美しい庭です。夜啼鳥や梟が歌い、雨蛙たちがグワグワと合唱します。しかしここでも坊やは、また次々にかつての被害者に訴えられます。幹をナイフでえぐられた樹、恋人を針で壁に刺されたトンボ、奥さんを殺されたコウモリ、籠に閉じ込められていたリス・・・

疲れて悲しくなってきた坊やが思わず「ママ・・」と言うと、その言葉がきっかけのように、庭の生き物たちが一斉に坊やに襲いかかってきます。逃げ惑いながらも、大混乱の中でリスが怪我をしたのを見た坊やは、自分のリボンで傷を縛ってやり、そのまま倒れて眠ってしまいます。その様子を見た生き物たちはハッとしたように「この子は傷の手当てをした・・自分も怪我してるのに・・」「どうしたらいいだろう・・僕たちは怪我の手当ての仕方が分からない」「この子が言った言葉を言ってみようか・・・『ママ・・』」

生き物たちが坊やを家の方へ運んでいくと、やがて夜が明けます。「この子はいい子だよ、賢くて。傷の手当てをしてくれた、とても優しい子だよ」という合唱に送られて目を覚ました坊やは、そばにいるお母さんに腕を伸ばして「ママ!」と言います。



お薦め動画(子供と魔法)

●全曲 1999年 リヨン・オペラ座
本場フランスで、歌手もフランス語ネイティブが揃った見事な公演です。



●バレエ版 1984年 振付:イジー・キリアーン、ネーデルランズ・ダンスシアター
指揮:ロリン・マゼール、パリ管弦楽団
見事なダンスと演出で夢の世界を映像化した、素晴らしい名作です。

(1)冒頭 〜 ソファ 〜 掛け時計 〜 ティーポットとカップ


(2)暖炉の火 〜 壁紙の羊飼い 〜 絵本のお姫様


(3)お姫様(続き) 〜 算数の問題オジサン 〜 猫のカップル


(4)夜の庭 〜 樹 〜 トンボ 〜 コウモリ 〜 蛙とコウモリのダンス 〜 リス


(5)混乱 〜 怪我したリス 〜 合唱 〜 フィナーレ




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