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作曲者別

タイス (マスネ)  Thaïs (Massenet)



作品紹介(タイス)

「タイスの瞑想曲」をご存知ですか? 聴けば絶対「ああ、これか!」と知っているはず。
ヴァイオリン独奏曲として、コンサートや発表会でよく弾かれる大変メロディックな美しい曲で、ノスタルジックなせつない魅力のある”珠玉の小品”です。

この瞑想曲は、タイスの2幕の1場と2場の間で演奏される間奏曲で、ソロはオーケストラのコンサートマスターが弾きます。(オペラでオケの団員が注目を浴びることは滅多にありませんが、この曲では、カーテンコール時にコンマスが舞台で挨拶することもあります)

この曲だけが非常に有名で、元のオペラ自体は殆ど知られていないので、「こんな美しい曲があるオペラはいったいどんな話なのかしら〜!」と興味を持たれるのでは。(というか、私がそうでした)

そして聴いてビックリ、娼婦と修道僧の恋愛物!!それも凄い話。

修道僧アタナエルは旅の途中、故郷のアレキサンドリアが絶世の美女の娼婦タイスによって堕落していることに心を痛めます。寺院に戻った後、夢の中にタイスの官能的な姿が現れたことに衝撃を受けた彼は、タイスを神の道に導くべく町へ戻り、「真実の愛、そして永遠の命」と信仰を説きます。最初は鼻で笑って美の享楽を謳歌していたタイスも、やがて娼婦の身の虚しさから信仰に道を求め、彼に従って尼僧院に入りますが、逆にアタナエルは恋の虜となり、信仰と肉欲の葛藤に悶え苦しみ、ついにはジュテームを訴える中、タイスは神の名を呼び死んでゆくというストーリー。

でもって、このタイスの瞑想曲の旋律はタイスのモチーフであり、彼女の色香と悔悛、娼婦の身から信仰へと心が変化する様を描き、またそれに幻惑されるアタナエルの苦悶の曲なのです。


最初このストーリーを知った時は、娼婦と殉教、修道僧と性愛の虜、という組み合わせがギャップがありすぎて、あまりに説得力のない話と感じ、まともな舞台があり得るんだろうか?と思いました。
特にタイス役、艶やかな娼婦から神に殉じる姿への変化を不自然でなく演じられる歌手なんているんか?って。

しかし、メトのルネ・フレミングの上演を観てナットク!!(これも「ハムレット」同様、ライブビューイングで取り上げてくれたおかげで多くの人に作品の魅力を知らしめてくれました。メトは最近フランスオペラをたくさん上演してくれて嬉しい!)

いつもは気さくなおばさん風のフレミングが、驚くほどのハマりぶりで、それは美しくチャーミングで、さすが当代きっての名女優、とまったく感心いたしました。髪型や衣装もとってもステキだしスタイルも抜群。彼女が登場するとパッと華やかオーラが飛び散っていて、こりゃネトレプコのマノンと双璧のハマり役だわ〜(ご本人も音域が自分にピッタリで、私のためにあるような曲、と言っていました)

退廃的な娼婦姿もピッタリなのに、そのままの美しさで信仰に命を捧げるラストも大変説得力がある!
ずっと神の道を説いていたアタナエルが、今さらに「すべて嘘だった、私は間違っていた、天国なんてない、あるのは愛だけ!」と言ってジュテームを連呼する中、タイスはもはや彼の声など耳に入らない。

「天国の扉が開いたわ。天使が見える・・・たくさんの花束を抱えて・・・芳しい香り! もうすべての苦しみは過去のものね。ついに天国だわ!・・・ああ、神様!」
と、最後に神を見て息絶えるタイスにすがりつくアタナエル・・・


マスネというのはとても不思議な作曲家で、退廃的でエロスの香りを放つ瀟洒な音楽もとても魅力的なのに、それと同時に清廉な神々しい音楽も書くのです。彼の退廃美と神聖な美と、この2つの全く相反するような特徴が、このタイスという作品には非常にうまく組み合わされていて、その点では最もマスネらしい作品かもしれません。

愛のことを思うときに、それが完全に精神的な神聖なものであるか、心だけでつながって離れていても真に満足できるものなのか、それともやはり究極の愛は男女の官能にあるのか。もちろんいずれか片方ではないかもしれませんが、このタイスでは、タイスとアタナエルが両方の究極から、お互いに交差し、そして逆になってゆく様が、説得力をもって描かれ大変見事です。

フレミングとハンプソンも、そんな哀れな人間の様を切々と歌って、とても共感できます。

それともうひとつ、この作品の名演に、フェニーチェ歌劇場のDVDがあります。
裸身のバレリーナが話題になりましたが、低俗とは無縁の完璧なまでに芸術的な演出で、バレリーナの裸身も究極に美しく、まったく感動的です。こちらも是非合わせてご覧ください。

→ タイス(マスネ)の詳しいあらすじはこちらから

お薦め動画


●タイスの瞑想曲  アンネ・ゾフィー・ムター



●ファイナルシーン  ルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン
最後に「タイスの瞑想曲」のメロディーがタイスによって歌われる感動的なシーンです。フレミングとハンプソンも実に名演!



●"C'est Thaïs.." タイス様の登場シーン



●"Je suis Athanaël"



●"Dis-moi que je suis belle"  (私を美しいと言って) 鏡のアリアとして有名な曲です。
娼婦タイスが、老いと美貌が衰えることの恐怖を独白する歌



●Ô Messager De Dieu; Baigne D'eau Mes Mains
尼僧院への旅の途中、砂漠の中でオアシスにたどり着くシーン



●フェニーチェ歌劇場  タイス エヴァ・メイ
意欲作で知られるフェニーチェ歌劇場の、これも話題作です。
タイスの瞑想曲の演出は鳥肌もの!!( 裸身の娼婦が十字架のキリストとなった瞬間、寝台の薔薇が一気に落花する見事さよ! )
・タイスの瞑想曲


・全曲(フェニーチェ歌劇場)






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