ファウストの劫罰(ベルリオーズ)
La damnation de Faust (Berlioz)
作品紹介(ファウストの劫罰)
「キリストの幼時」が、ベルリオーズらしからぬ穏やかで慈愛に溢れた作品であるなら、この「ファウストの劫罰」は、めっちゃベルリオーズらしい、彼ならではの狂気に満ち満ちた作品です。「幻想交響曲」と同じ、彼の天才と狂気が炸裂した傑作。
この曲もキリストの幼時同様「劇的物語」と名付けられていて、オペラではありませんので通常は演奏会形式で上演されます。しかし時々オペラ形式で上演されることもあり、確かにオペラ化しないのはもったいない作品です。
原作はゲーテの「ファウスト」なので、グノーのオペラ「ファウスト」とほぼ同様のストーリーです。原作は長大な物語ですが、取り上げたのはグノーもベルリオーズも同じ「グレートヒェン悲話」の部分。
ただ、自由人のベルリオーズですから、勝手にいろいろ変えています。
冒頭シーンがなぜかハンガリーなのは、彼が以前に作った「ハンガリー行進曲」をここに入れたかったからだそうです。(もちろん、詩人の前に真偽なし、音楽家も然りですから、そんなことは全然構うこっちゃありません)
お奨め動画(ファウストの劫罰)
お薦め動画は、演奏会形式なら山のように動画がありますが、せっかくですのでオペラ形式のものを。レヴァイン指揮のメト。バレエがふんだんに入っていて、メトならではの大変豪華な舞台です。(しかし、メフィストの赤ゴキブリみたいな衣装だけは好みじゃないわ・・)
それと2002年のモネ劇場(カウフマン)の全曲も、同様にオペラ形式です。
●ハンガリー行進曲
●マルガリーテのロマンス
●全曲 2002年 モネ劇場 指揮:パッパーノ
ヨナス・カウフマン、スーザン・グラハム、ジョゼ・ヴァン・ダム
今をときめくカウフマンがまだ有名になる前ですね。
●Ange Adoré ファウストとマルガリーテ2重唱 アラーニャ、ゲオルギュー
アラーニャのネイティブのフランス語で是非お聴きください。
●メフィストフェレスのセレナーデを、私の好きなロジェ・ソワイエ (Roger Soyer)で。
(彼も、もちろんネイティブ。軽やかなフランス語が素晴らしい)
●Voici des Roses ロジェ・ソワイエ