サムソンとデリラ(サン=サーンス)
   詳しいあらすじ  STORY



あらすじ(サムソンとデリラ)


(1幕)
重苦しい音楽で幕が開きます。何かが回転するようなその暗い旋律は、終盤でサムソンが目玉をえぐられ盲目となり、鎖につながれて石臼を回す様を連想させます。

紀元前1150年頃のパレスチナ、ガザの町の夜中。ヘブライ人(ユダヤ人)はペリシテ軍に征服されて奴隷となり、その絶望と苦しみを神に訴え、祈ります。
「イスラエルの神よ。私たちの祈りをお聞きください。異教徒により全てを失った我らをお救いください。先祖よりの神聖なお約束をどうかお果たしください!」群衆による悲痛な祈りの合唱が壮絶に歌われます。

サムソンが登場し、「私は主の声を聞いた。神はすでに自由を約束されている。我らの神は戦いの神、無敵の剣で勝利し、再びイスラエルの唯一神を奉るのだ!」と同胞を鼓舞します。

そこへガザの長官であるアビメレクが現れ、「奴隷どもが何を騒いでいる!いくら祈っても、おまえたちの臆病な神は何もしてくれぬわ!」と嘲笑います。怒ったサムソンは、「神の怒りが大地を揺るがしているぞ!イスラエルの民よ、鎖を断ち切り、復讐を果たすのだ!」と叫び、群衆は立ち上がります。

アビメレクは剣を抜いてサムソンを斬ろうとしますが、サムソンに剣を奪われあっけなく殺されてしまい、おつきの兵たちもサムソンに威嚇され逃げてゆきます。

ダゴンの神殿の扉が開き、大僧正が降りてきてアビメレクの遺体を見つけ、奴隷に殺されるとは!と怒ります。兵士たちは口々に、不思議なサムソンの力の前に血も凍り、身体が動かなくなったと訴えます。

そこへ使者が、サムソンに率いられたヘブライ人が狂ったように攻めて来ると伝えると、大僧正たちペリシテ人は呪いの言葉を残して山へと逃げてゆきます。
夜が明け、敵は去り勝利したことを知ったヘブライ人たちは、イスラエルの神に厳かに感謝を捧げます。

すると再びダゴンの神殿の扉が開き、美しいペリシテ人デリラ(ダリラ)と、花を捧げ持ったペリシテの娘たちが出てきます。「春の花で勝利の戦士を飾りましょう」と歌って美しく舞い始めます。

デリラはサムソンに向かい、「勝利をお祝いに参りました。私の心を奪った勇敢な方。愛するあなたのために、この黒髪に薔薇を飾りましたの」と歌います。サムソンは「ああ神よ、弱き我を憐れみ給え。甘い声に目と心を閉ざさせ給え」と祈りますが、デリラの美しい肢体から目が離せません。

「私のキスは鈴蘭の香りよりも甘いのよ。マンドレイク(麻薬草)のジュースよりも。いらして!」と誘い、「春が来れば、愛の希望に燃え立つわ。愛しい人に私の心と甘い陶酔を捧げます」と歌って、完全にサムソンを虜にします。



(2幕)
ソレクの谷。夕暮れにデリラは家の前に佇み、サムソンを待っています。
色香で誘惑し、憎い敵の英雄が鎖に繋がれることを熱望し、復讐を誓って「愛よ、弱き私を助けておくれ」と歌います。

そこへダゴンの大僧正が訪れ、サムソンへの怒りを吐露します。「神から力を授かった怪力サムソンの秘密を暴くために、デリラ、力を貸してくれ、富を約束しよう」と言いますが、デリラは自身の憎しみのために復讐をするのだから財宝などいらない、と答え、今まで3度サムソンを誘い秘密をさぐったが失敗だった、今夜こそ、と誓います。

サムソンが来ます。「ああ、またここに来てしまった・・私はこの愚かな愛から逃げたいのに・・!」
デリラは駆け寄り「愛するあなた、お待ちしていました!これで苦しい時を忘れられます」と歓喜します。
それでも躊躇し「私は神の僕なのだ」と拒否するサムソンを、デリラは手練手管で絡め取ります。「神の栄光が何?私にとってはあなたの愛撫が全て。私の心は、あなたの声に夜明けの花のように開きます。どうぞ私の想いに応えて、愛してください」
(※ここで歌われる「あなたの声に心は開く」の歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています)

ダリラの魅力に抗えなくなったサムソンはついに「愛している」と連呼し、すると、愛しているなら秘密を打ち明けてくださいと迫られます。繰り返し拒絶をするも、「ならば愛していないのですね」と泣いて去られ、雷鳴なり響く中、とうとう彼女を追って行き、秘密を打ち明けてしまいます。
と同時に、ペリシテの兵士がデリラの家になだれ込み、サムソンは裏切りを知ります。



(3幕)
ガザの牢獄。サムソンは神から与えられた怪力の秘密である髪を短く切られて力を失い、目玉をえぐられて盲目となり、鎖に繋がれて石臼を回しています。
己の愚かさを悔い、犯した罪の重さに慄くサムソンの耳に、ヘブライ人たちの「おまえは女に惑い同胞を売ったのか!我々の血と涙で、なんということをしてくれたのだ」と責める声が聞こえます。

ペリシテの兵が来て、サムソンをダゴンの神殿につれてゆきます。そこには大僧正や貴族たち、デリラや娘たち等たくさんのペリシテ人が集って盛大な祝宴を繰り広げています。(ここで「バッカナール」(酒神の宴)として有名なバレエが入ります)

人々は「やあサムソン!おまえも飲め。おまえのご主人ダリラ様を讃えて!」と嘲笑します。デリラが酒杯を手に近づいてきて言います。「あなたは山を超えて来て私を抱いたわね。愛の陶酔を覚えている? あなたは愛と信じていたけれど、あれは私の憎しみ、復讐だったのよ」

大僧正が面白がって続けます。「さあサムソン、恋人への愛のささやきを披露してくれ。そしてエホバの神に祈って目が見えるようにしてもらうがいい、それができたら私もその神に仕えてやろう。できるわけがないがね」 ペリシテ人たちは大声で嘲笑います。

大僧正とデリラはダゴンの神に生贄を捧げ、神への讃歌を高らかに歌います。ペリシテ人たちは「正義のダゴンの神に栄光あれ!我らペリシテ人に栄光あれ!」と唱和し、興奮は最高潮に達します。
サムソンはイスラエルの神を侮辱されたうえに、ダゴンの神に祈るよう強要され、怒りに震えます。

全身全霊で「主よ、どうか一瞬だけ、私にかつての力をお返しください!私に復讐を遂げさせてください!」と祈ると、神殿を支える2本の大理石の柱に手をかけ、渾身の力をこめます。
柱は折れ、巨大な神殿は崩れ、大絶叫の中ペリシテ人もサムソンも全てを飲み込んで壊滅します。





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