ウェルテル お薦め動画(2)
   ロベルト・アラーニャ



「タイトルロール(標題役)」という言葉があり、作品の題名にもなっている役は、主役の中でも特別重要な役です。
しかしオペラは意外に主役でも出番が少ないケースは多く、ブッチギリの独り舞台!てな主役って結構少ないんです。男声主役の場合は特に。

そんな中で、このウェルテルは数少ない「タイトルロールテノール」のためのオペラ。
ウェルテルの情熱的でメランコリックで、究極まで緊迫した歌が次々と続き、一流テノールが競って歌いたがる、「蝶々夫人のテノール版」みたいな作品と思うのですよ。

でもマスネは、フランスオペラの中でも特にフランスの香気に満ちた作品を書いた作曲家で、その中でも叙情的なこの作品は、何としても美しいフランス語のテノールに歌ってほしい!

アラーニャの若い頃の素晴らしいCD録音はあったけれど、彼の舞台映像がないのをずっと惜しんでいましたが、最近になって続々とYouTubeやDVDで見られるようになりました。
明晰なディクションの美しいフランス語のみならず、声、姿、情熱・・・最高のウェルテルです。



(1)2005年 トリノ ロベルト・アラーニャ、ケイト・アルドリッチ
ダヴィド・アラーニャ(弟)が演出した、映画のように美しいプロダクションです。

●全曲




(2)2013年 ウィーン国立歌劇場 ロベルト・アラーニャ、ヴェッセリーナ・カサロヴァ

これはガランチャ&アルバレスでDVDになってるのと同じプロダクションですが、予定してたガランチャがご懐妊で急遽カサロヴァに代わったのですが、清淑でとてもいいシャルロットです。

●1幕 ウェルテル登場シーン 「O nature!」
シャルロットの家の門に着いたウェルテルが、その清々とした緑にあふれた敷地の様子に感激し、何かを予感して歌う歌です。しょっぱなから朗々と聴かせてくれます!



●1幕ラスト 舞踏会からの帰り、「もう家に着きましたわ・・」から一気に愛を告白するも、婚約者の存在を知ってガーン。陶酔から歓喜、絶望へ・・



●2幕、他の男の妻となったシャルロットの姿に傷つき、「もしこの天使と人生を歩ませてくれたなら・・・彼女が愛するべきなのは僕なのに!この僕なのに!!」という悲痛な叫び。
しかしアルベールの謝罪に、心を偽って彼らの幸福を祈る歌も美しい。



●「甘美な日々はなんと遠くへ行ってしまったのだろう」とシャルロッテに訴えるも拒絶され、死を決意するシーン。”Lorsque l'enfant revient d'un voyage〜”(子供が予定より早く旅から帰ってきたら、父は少し腹をたてたとしても、その足音を喜んで抱きしめてくれはしないだろうか、主よ、主よ私をお呼びください!)の歌はあまりにも痛切で、胸が痛い!



●3幕、手紙の歌 シャルロットがウェルテルからの手紙に心乱れ、不安に慄く歌。
カサロヴァさん、急遽の出演依頼にも関わらず、見事な歌唱と心のこもった演技をありがとう!



●クリスマスの夜 「僕だ・・来てしまった・・」
そしてオシアンの詩  Pourquoi me reveiller   「春風よ、なぜ僕を目覚めさせたのか」 
史上最強のストーカー、アラーニャの本領発揮です。フランス語が美しい!!

※オシアンの詩の歌詞とカタカナ読み、訳を カラオケdeフランスオペラ のページに載せています。


●そしてこの作品のクライマックス。心動かされながらまだ貞節が捨てられないシャルロットに猛アタック!「tu m'aimes (君は僕を愛してる)、愛こそ真実、勝利を勝ち取ろう、ジュテーム!」
ストーカーながらこの決然とした男らしさは素晴らしく感動的です。魂の熱演。



●そして壮絶なデスシーン




(3)若い頃のCD録音
1998年 ロベルト・アラーニャ、アンジェラ・ゲオルギュー、パトリシア・プティボン
若々しく甘い声は青春の香り高く、 瑞々しく抒情的な歌いっぷりも素晴らしい!

● Il faut nous séparer (送ってもらったシャルロットが「もうお別れしないと・・・」)



●耐えきれずシャルロットに愛の告白 〜 婚約者がいると知ってガーン


この最初の歌詞は、Rêve!(夢よ!)と言っていますが、この語頭の”R”の発音は外国人では絶対にできません。フランス人ならではの美しい言葉です。
● Lorsque l'enfant revient d'un voyage



●オシアンの歌






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