バレエシーン in グランドオペラ
  Le ballet dans le grand opéra


「グランドオペラ」の特徴のひとつはバレエが入っていることで、これによってオペラがより華やかで心踊るものになります。私はオペラの中のバレエシーンが大好きです!

しかし、この素晴らしい「オペラの中のバレエ」は、現代のバレエファンにもオペラファンにもあまり顧みられることがなく、勿体なくてちょっと淋しい・・と常々思っていましたので、ここで一挙大紹介いたします。フランスオペラだけでなく、ヴェルディやワーグナーもありますよ!

(目次) 各クリックでジャンプします。 


サムソンとデリラ(サン=サーンス)・バッカナール

悪魔のロベール(マイアベーア)・呪われた尼僧のバレエ

ギヨーム・テル(ロッシーニ)・婚礼のバレエ、祭りのバレエ

ファウスト(グノー)・ワルプルギスの夜のバレエ

預言者(マイアベーア)・バレエ:スケートをする人々

ル・シッド(マスネ)・スペインの踊り

ヘンリー八世(サン=サーンス)・王宮庭園でのバレエ

トロイアの人々(ベルリオーズ)・王の狩りと嵐

アイーダ(ヴェルディ)・凱旋シーンのバレエ

マクベス(ヴェルディ)・魔女たちのバレエ

タンボイザー(ワーグナー)・バッカナール

ドン・カルロス(ヴェルディ)・エボリの夢

優雅なインドの国々(ラモー)・平和のパイプの踊り

月世界旅行(オッフェンバック)・フレンチカンカン



サムソンとデリラ(サン=サーンス)・バッカナール

グランドオペラ内のバレエでは最も有名と思われるこの「バッカナール」(酒神の宴)、宿敵サムソンを捕らえたことに狂喜するペリシテ人の祝宴での乱舞です。

●メトロポリタン歌劇場ガラでの、モダンでクールで、活力に溢れた素晴らしいバレエをご覧ください。


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悪魔のロベール(マイアベーア)・呪われた尼僧のバレエ

グランドオペラ最初の大ヒット作、悪魔のロベールの中でも人気があったバレエです。
ロベールが魔法の枝を穫りに行った尼僧院で、罪を犯して死んだ尼僧たちが墓から出てきてロベールを誘惑しながら踊る、というスゴい設定ですが、音楽もバレエも大変美しい!!

(1985年 パリ・オペラ座:全曲より)
●3幕 呪われた尼僧のバレエ 53:50〜


バレエ後半~


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ギヨーム・テル(ロッシーニ)・婚礼のバレエ、祭りのバレエ

個人的には、これがオペラ内バレエの最高傑作!と思う素晴らしいバレエです。
このオペラには1幕と3幕の2箇所に長大なバレエが入っていて、両方で高度なバレエを上演するのは困難と思うのですが、1995年ロッシーニ・オペラフェスティバルでの上演はまったく奇跡的!
「バレエ界のマリア・カラス」と呼ばれたというアレッサンドラ・フェリがとにかく素っ晴らしい!!全身がバレエの精! 相手役のホセ・カレーニョも見事。

●1幕のバレエ (6人の踊り)村の3組の新郎新婦の婚礼の踊り 54:49~、
(パ・ドゥ・ドゥ)フェリ&カレーニョ 1:06:30〜 トップスター二人の正統的な美しいバレエです。


●3幕 祭りのバレエ (フェリのソロ) 18:27~ フェリの素晴らしい表現力に圧倒!
(男性群舞)29:20〜 こちらも負けてないカレーニョの躍動感。



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ファウスト(グノー)・ワルプルギスの夜のバレエ

ファウストのバレエ音楽は結構有名で、これがファウストだ、と思ってる(誤解)方も多いのですが、実際には初演時には無かった音楽で、10年後にオペラ座で上演するために追加されたものです。しかし緊迫したドラマの終盤に、7曲20分ものバレエが挟まるのは何とも場違いで、その後はバレエが上演されることは少なかったのです(小曲として演奏されることは多かった)。 ところが、2004年ロンドンでの上演で、ただの優美な踊りではなく、ストーリーに即した悲劇性とシニカルで諧謔的なバレエを挿入して脚光を浴びました。

●2004年 ROH マクヴィカーの演出によるワルプルギスの夜のバレエ
クラシックバレエをパロディ化したうえで、妊娠を嘲笑される少女や、バレリーナを買春するオペラ座のパトロン達を描き、二重にも三重にも辛辣な見事なバレエです。



●こんなバレエは趣味じゃない・・という方には、オーソドックスなバレエだとこんな感じ(5:37〜)。でもやっぱり、これがあのシーンに挟まるのは無理がないか??


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預言者(マイアベーア)・バレエ:スケートをする人々(レ・パティヌール)

戦いの合間の野営地で、池に張った氷上で娘たちがスケートで踊る明るく華やかなバレエシーンです。このバレエ音楽を元に、コンスタント・ランバートの編曲でリメイクした作品が、「レ・パティヌール」というバレエ作品として知られています。

●2017年 トゥールーズ・キャピトル劇場 全曲より (バレエは 1:10:50~)


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ル・シッド(マスネ)・スペインの踊り

ル・シッドのバレエ音楽も、演奏会用の小品としてはそこそこ有名なのですが(特にブラスバンド用として)、これでバレエを踊っているのを見た人は殆どいないと思います。たぶんこの動画だけ、という貴重な映像です。スペインの様々な音楽による舞踊。

●1999年 ワシントン 全曲より (バレエは 1:00:30~)


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ヘンリー八世(サン=サーンス)・王宮庭園でのバレエ

正統的なグランドオペラに挿入されている、王宮祝宴シーンでの正統的なバレエです。奇抜なところは何もない美しいクラシックバレエで、こういうのも素晴らしいなあ!

●2002年リセウ歌劇場 全曲映像より(バレエは 01:31:58~)


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トロイアの人々(ベルリオーズ)・王の狩りと嵐

トロイアの人々は、今でこそ人気オペラのように思われていますが、数年前までは誰も知らないオペラで滅多に上演されず、バレエ映像も殆どありません。
パレエシーンとしては、1幕の祝勝の踊りと、4幕の王宮での踊りがあるのですが、それとは別に4幕冒頭に有名な「王の狩りと嵐」という場面があります。無言劇(パントマイム)と指定され、素晴らしい管弦楽が演奏される中、狩りに出たディドとエネが嵐にあって洞窟に逃げ込み愛が燃えあがる様が暗示されます。嵐の中、洞窟の外で妖精たちが踊り狂い、ここをバレエで表現する演出もあります。

●2014年 ベルリン・ドイツオペラ 4幕 「王の狩りと嵐」 バレエシーン


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アイーダ(ヴェルディ)・凱旋シーンのバレエ

アイーダを「グランドオペラの代表作」に挙げる人もいるくらいで(広義のグランドオペラ)、豪華な合唱やバレエが入った、実はとてもロマン的なオペラです。有名な「凱旋行進曲」に続いて踊られる、勝利を祝うバレエです。

●超豪華絢爛で有名なメトロポリタン歌劇場伝統のアイーダから。バレエは5:00〜


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マクベス(ヴェルディ)・魔女たちのバレエ

マクベスの1865年改訂版(パリ版)では、パリで上演するために3幕にバレエが追加されています。
現在はこのバレエシーンはカットされることも多いのですが、下記公演では原典主義のムーティらしく、見事なバレエが挿入されています。

(1997年 ミラノ・スカラ座 全曲より。指揮:リッカルド・ムーティ)
●3幕 魔女の洞窟、魔女たちのバレエ 1:58:45~
モダンな美魔女たちのエグい群舞がイケてます


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タンボイザー(ワーグナー)・バッカナール

ワーグナーもタンホイザーをパリで上演するにあたり、フランスの流儀にのっとり「パリ版」では1幕冒頭に「バッカナール」というバレエを追加しています。しかしフランスではもっと後の幕にバレエを入れるのが通例であったため、不評だったそうですが。。

●メトロポリタン歌劇場 指揮:ジェームス・レヴァイン


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ドン・カルロス(ヴェルディ)・エボリの夢

ヴェルディの人気作である「ドン・カルロ」は、元々フランス語版の5幕グランドオペラ形式で作られており、3幕にバレエが入っています。しかし現在は、イタリア語4幕版の上演が主流で、フランス語版が上演される際にもバレエ部分は殆どカットされてしまい、私もこの音楽でバレエが踊られたのを見たことがありません。
エボリ公女の「ヴェールの歌」の後に演じられる「エボリの夢」という、カルロスとの愛を夢見るバレエです。

●2004年 ウィーン国立歌劇場 演出:コンヴィチュニー
この上演では珍しくバレエ音楽が演奏されていますが、残念ながらバレエではなく、主要歌手4人(カルロ、エボリ、エリザベト、フィリポ2世)による無言劇(茶番劇)です。現代設定の家庭で、エボリとカルロ夫婦がフィリポ夫婦をディナーに招き・・・という内容。途中ヴァルガス(テノール)たちがバレエ擬きの踊りを披露するのが可笑しい。



優雅なインドの国々(ラモー)平和のパイプの踊り

これはグランドオペラではなく、バロック期のオペラ=バレですが、衝撃的な傑作。
2019年パリ・オペラ座、バレエにヒップホップダンスを用い、ダンサーたちの凄まじいパワー、エネルギーが震えるほどカッコいい!しかもそのストリート系ダンスがバロック音楽にピタリと合っているのです。古楽が21世紀の鼓動を取り戻した天才的演出です。
パリの観衆の熱狂ぶりもすさまじく、"Une Révolution"(革命)の評。何度見ても戦慄するほど感動的です!

●2019年パリ・オペラ座、ソプラノ:サビーヌ・ドゥヴィエル
演出:クレマン・コジトレ、振付:Bintou Dembele/Cie Rualité



月世界旅行(オッフェンバック)フレンチカンカン

オペレッタにもバレエシーンは登場し、特に人気を博したのがフレンチカンカン!
オッフェンバックのオペレッタにはカンカンに最適な「ギャロップ」等の音楽が頻出しますが、私が一番好きなのはこの「月世界旅行」のカンカン。
大勢のダンサーの熱狂的なパフォーマンスは、パリの不夜城キャバレーのめくるめく大馬鹿騒ぎのようで最高!

●1985年 ジュネーブ大劇場


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