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作曲者別

トロイアの人々(ベルリオーズ)
         Les Troyens (Berlioz)


作品紹介 (トロイアの人々)

まさかこの「トロイアの人々」を、映画館で日本語字幕付きで観れる日が来ようとは、夢にも思いませんでした!(2013年 Met ライブビューイング)。
しかし何と言う壮絶悲痛なオペラでしょう。初めて「字幕付き」で観てみて、改めて驚きます。

ベルリオーズが精魂こめたこのトロイ人は、長大壮大すぎて上演困難な作品で、フランス語での全曲上演がされたのは、作曲から100年もたった1969年なのだそうです。その後もごく稀にしか舞台にかかることはなく、この間まで殆ど「忘れられた曲」あるいは「レア物」でした。

でも、「いつかこの作品の真価が認められる時が来ないとも限らない・・・」と薄ボンヤリ思ってはいたけれど、まさかホントにそうなるとは! 

ベルリオーズといえば何といっても「幻想交響曲」が有名で、ベートーヴェンと同時代に、当時としては革新的・前衛的な音楽を生み出した異色の天才です。自らのオタク的恋愛を元に作った「幻想」は劇的な傑作で、その情熱的・幻想的な音楽はオペラの作曲家に最適ではないか、と思われました。

ところが、「トロイアの人々」「ベンベヌート・チェルリーニ」「ベアトリスとベネディクト」の3オペラとも、斬新すぎて殆ど上演されることはなく、それよりは「劇的物語」と銘打たれた「ファウストの劫罰」「キリストの幼時」そして劇的交響曲「ロミオとジュリエット」の方が20世紀には頻繁に演奏されてきました。

しかし大規模作品の上演が可能になった20世紀終わりから上演が始まり、21世紀に入って続々と取り上げられるようになり、ついにライブHDにかかって一気ににブレイク。

ウェルギリウスの叙事詩「アエネーアス」をもとにベルリオーズ自身が脚本を書いているのですが、こんなに長大で過酷で登場人物も膨大で、どう考えても上演不可能な作品を、何だってベルリオーズは作ったのか?と思ってしまいます。当然彼自身は生前に全幕上演は見ていませんし、まさか150年後にこうなると予見してたのかしら。

有名な「トロイの木馬」が出てきます。もしこの「トロイの木馬」という言葉をご存知なかったら、この機会に覚えておくとよいですよ。欧米では「常識」の逸話なので。
ギリシア軍が難攻不落のトロイアを攻める最期の方策として、巨大な木馬を作ってその中に潜んで敵陣に入り込んだという作戦。なので、「トロイの木馬」という言葉は、一見よさげな物の中から禍々しい物が出てくる例えに使われたり、あるいは敵陣に乗り込んで内部から攻撃する例えに使われたりします。コンピューターウイルスの名前にもありますね。

第1部も第2部も、幕切れがあまりに壮絶で唖然とします。特に最後の幕切れが、カルタゴの民衆による憎しみと復讐の大合唱、っていうのは、いいのか!?って気もするけど、悲劇の歴史物だからいいのかな。

音楽も壮大ですが、ベルリオーズらしい狂気と甘美が混じった美しい旋律があちこちに登場します。
特に第2部の「王の狩りと嵐」と、エネとディドの2重唱は、それは美しい傑作。
主役は女性二人(カッサンドラとディド)ですが、男性主役のエネの他に、難アリア一発のテノールが二人(詩人イオパスと水兵)とバス(ナルバール)もおり、大変贅沢な配役を要求されます。(普通じゃ無理よね。本当にベルリオーズ何考えてんの!って感じ)
そして、全幕を通して合唱が大変素晴らしく、声のパワーに圧倒されます。

メトやROHの上演も素晴らしいですが、シャトレ座のは、本場パリならではのフランスの香気がこの長大で重苦しい作品に色彩と華麗さを与えていて、やっぱり本来はこうなのでは?と思わせます。


あらすじ(トロイアの人々)

ストーリーは1部と2部に分かれ、第1部はトロイア戦争でトロイアが滅びるまでが描かれます。
長く戦争が続いたある日、ギリシア軍が突然撤退したことに喜び浮かれるトロイア人たちの中、王女カッサンドラ一人が不吉な未来を予見し人々に警告します。しかし誰一人聴き入れず、ギリシア軍が残した木馬を城内に引き入れてしまい、中から出てきたギリシア兵に町を焼かれてしまいます。トロイ人皆殺しの中、一部の戦士はトロイアを脱出、残された女たちは祖国の滅亡に慄きながら、子孫がいつかイタリアで建国することに一縷の望みを託します。ギリシア兵が迫る中、「奴隷となって辱めは受けぬ」と言うカッサンドラに導かれ、決然と集団自決する女たちで幕。

第2部は、アフリカのカルタゴが舞台。トロイアから脱出したエネ(アエネーアス)たちは長く海を漂流した後、カルタゴに上陸して女王ディドに助けを求めます。折しも敵の攻撃を受けたカルタゴのために武器をとり信頼を得たエネは、ディドと恋に落ちます。甘美な愛欲にローマ帝国建国の使命を忘れ、楽園カルタゴの平和を貪っていたエネに、「イタリアへ行け!」という神の声が響きます。使命と愛との狭間で苦しみながら、運命を悟ってディドを捨てイタリアを目指す決意をするエネ。半狂乱になって取りすがり、女王のプライドも捨てて行かないでくれと懇願するディド。しかし船はすでに出航し、自分を裏切ったエネを呪い、子孫による復讐を誓って自害するディドで幕。



お薦め動画(トロイアの人々)

●ディドとエネの2重唱   スーザン・グラハム、グレゴリー・クンデ 2003年 パリ・シャトレ座



●ディドの死~フィナーレ 1983年 メト 指揮:レヴァイン タティアナ・トロヤノス



●2003年 パリ・シャトレ座  スーザン・グラハム、グレゴリー・クンデ
合唱や脇役がフランス人で固められ、フランスの香りのトロイ人です。



●こちらから全曲  1990年 パリ グレース・バンブリー、シャーリー・ヴァーレット



●音声のみ全曲 2014年 ミラノ・スカラ座 グレゴリー・クンデ、アントナッチ



●イオパスのアリア  「おお、金髪のセレス」 Ô Blonde Cérès  ロベルト・アラーニャ



 ●2013年 マルセイユ歌劇場  ベアトリス・ユリア・モンゾン、 ロベルト・アラーニャ



 ●2014年 ベルリン・ドイツオペラ 4幕 「王の狩りと嵐」 バレエシーン



 ●2014年 ベルリン・ドイツオペラ 全幕プレイリスト






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