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作曲者別

いやいやながら医者にされ(グノー)
 Le Médecin malgré lui (Gounod)


作品紹介(いやいやながら医者にされ)

グノーの喜歌劇? そんなのあるの?
と思うでしょうけれど、この「いやいやながら医者にされ」はオペラ・コミック(台詞入りのオペラ)に分類されていますが、実体はどう見ても喜歌劇、オペレッタです。

もっとも、この作品の初演が1858年、まさにオペレッタの元祖「地獄のオルフェ」(オッフェンバック)が初演された年ですので、まだそういう分類すらなかったのだから仕方がありません。

グノーの最高傑作「ファウスト」と同時期に作曲されたとは思えない、趣も曲想もまるで異なるドタバタ喜劇で、グノーならではのロマン的で豊麗なオペラとはだいぶ違うのですが、でもなんとも洒落た粋な音楽はやっぱりグノー。

序曲からなぜか「バロックオペラ?」という音楽で始まり(途中からオペレッタ風に変わります)、リュリやラモー等のバロックオペラ風や、あるいはモーツァルト風のメロディーがそこらじゅうに登場します。敬愛する先輩音楽家へのオマージュというべきか? パロディーというべきか?? そこにオペレッタ風の軽快な音楽やグノーらしい美しいメロディーがチャンポンされて賑やかな楽しさが溢れます。
スガナレルの酔っ払いのクプレや、レアンドルのセレナード、序曲のメロディーが出てくる楽しい6重唱、美しい合唱などが聞きどころです。

原作は17世紀の劇作家モリエールの同名の戯曲で、今も古典の名作として岩波文庫から出版されています。昔の喜劇ってのは、今ならDVやセクハラに該当するネタも多いけれど、でも昭和のドリフターズとかもこんなだったよなあ・・・

滅多に上演されない演目ですが、近年2つのプロダクションが相次いで上演され、2016年ロラン・ペリー演出の素敵な舞台が全幕YouTubeに出ています。また、1960年の立派な映像も全曲残っており、現代演出とクラシックスタイル双方で楽しむことができます!



あらすじ(いやいやながら医者にされ)

スガナレル(夫:木こり)とマルティーヌ(妻)の派手な夫婦喧嘩で幕が開きます。終いにはスガナレルが奥さんを棒でブン殴ってしまい、腹が煮えくり返ったマルティーヌが復讐を考えているところに2人組(ヴァレールとリュカ)がやって来て、彼らの主人(ジェロント)の娘が言葉を話せない病気になり名医を探している、と言います。ここでピンと名案が浮かんだマルティーヌ。「スガナレルという木こりは無学な変人のようで、実は凄い名医で大勢の重病人を治したのよ。でもすごく変わってて、棒で思い切りぶちのめさないと自分が名医だって認めないの」と。喜んだ2人は、呑んだくれているスガナレルを見つけると早速棒でぶちのめし、耐えられなくて医者だと認めた彼をご主人の館に連れて行きます。

ジェロントの館の外では、青年レアンドルが娘(リュサンド)へのセレナードを歌っています。ジェロント家の乳母が「お嬢さんの病気を治すには、好いた男と結婚させるのが一番」と言っても、別の金持ちと結婚させたいジェロントは聞く耳を持ちません。そこに登場したスガナレルはいかにも怪しい雰囲気、しかも巨乳の乳母につきまとうサイテー男。しかし言葉を話せず「アン、イン、オン・・」と妙な言葉しか言えなくなったリュサンドを適当に診察すると、メチャクチャなラテン語や口から出まかせでジェロントたちを煙に巻き、立派な医者だと感心されます。

お礼金をもらって退出すると、待っていたレアンドルに声をかけられます。自分はリュサンドの恋人で、彼女は父が決めた別の男との結婚がいやで仮病をつかっている、と打ち明けられ、彼を薬剤師に仕立てて館を再訪します。薬剤師が娘の脈を診ると思わず彼女が恋人への思いを声にし、「やあ!口がきけるようになった!」と喜ぶ父、しかし「お父さんの決めた人と結婚するのは絶対にイヤ!」と言って隙を見て2人は駆け落ちしてしまい激怒、偽医者スガナレルが手助けしたことも知れて大激怒します。訴えてやる!と息巻いているところにレアンドルが登場。「駆け落ちはやめて正々堂々と娘さんをもらい受けに来ました。叔父が亡くなり財産をすべて相続することになったのです」と言うや、「ああ!喜んで娘を差し上げましょう」とコロッと態度を変えます。スガナレルも命拾い、「全部私のおかげよ」というマルティーヌに「だが俺ほどの人間に、これからは尊敬の念を抱くように」と威張って幕となります。



お薦め動画(いやいやながら医者にされ)

●全曲 2016年 ジュネーブ大劇場 スイス・ロマンドオーケストラ
指揮:セバスチャン・ルーラン、演出:ロラン・ペリー
ボリス・グラッペ、スタニスラス・ド・バルベラック

今やフランス物のコメディーといったらこのロラン・ペリー(演出)の独壇場。漫画チックで、でも詩情豊か、そして色彩がとてもきれい!埋もれていた作品を次々に鮮やかに甦らせています。



上記公演の1分予告編(音楽は序曲の後半部分)
ロラン・ペリーの漫画チックな楽しい演出を1分で味わえます。



●全曲 1960年 指揮:セルジュ・ボド
マルチェロ・コルティス、ルイジ・アルヴァ、フレダ・ベッティ
50年以上前の公演ですが、音も映像も鮮明で、歌手たちの歌も演技も上等でびっくり。昔も「突っ立って歌う」だけじゃなかったのね!むしろ道化らしい道化の演技ができる歌手が多かったのだなあ。
しかもレアンドル(ルイジ・アルヴァ)は美声だし、リュサンドちゃんの美人なこと!途中にミニ・バレエまで入ってて、なんて素敵なんでしょう。



●レアンドルのセレナード  "Est on sage dans le bel age"
2015年 サンテティエンヌ・オペラ座
これも完璧バロックオペラ風のアリアですね



●6重唱 “Eh bien! charmante demoiselle”「さあ、美しいお嬢さん」
こちらはモーツァルト風。リュサンドを偽医者が診察して皆でドタバタする歌です。
スチーピオ・コロンボ、イタロ・ターヨ



●スガナレルのクプレ Qu'ils sont doux bouteille jolie ! 「なんて美味しい素敵なボトル」
リュシアン・フュジェール  呑んだくれて歌うコミカルな歌です。




*****************

●おまけ(1)
シバの女王(グノー) 1969年 トゥールーズ 指揮:ミシェル・プラッソン



●おまけ(2)
鳩(グノー) 2015年 指揮:マーク・エルダー、ハビエル・カマレナ、ロラン・ナウリ





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