グレゴリー・クンデ (テノール)
Gregory Kunde 1954年生まれ
グレゴリー・クンデはベルカントテノールとして知られているので、私はずっとイタリアの歌手だと思っていましたが、アメリカ出身だそうでちょっと意外でした。(しかし活動の拠点はイタリア、スペイン等の欧州のようです)
彼はロッシーニやベッリーニなどのイタリア・ベルカントオペラの大家であると同時に、非常に多くのフランスオペラをレパートリーとしており、特に他の歌手が歌わない(歌えない)マイナーなフランスの作品をとてもたくさん歌っています。
ドリーブのラクメ、ビゼーの真珠採り、シャルパンティエのルイーズなどのフランスの香り高いリリックな作品から、ベルリオーズのトロイアの人々、ベンヴェヌート・チェッリーニ、マイアベーアのアフリカの女、ユグノー教徒などの重厚なグランドオペラまで、どれも大変完成度の高い素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。ロッシーニの書いたフランス語のグランドオペラであるギヨーム・テル(ウィリアム・テル)などは、まさに彼のためにあるような作品です。
ベルカントの美しい軽やかな高音を持っているにも関わらず、劇的でヒロイックな歌唱もできる稀有なテノールで、ロッシーニのオテロとヴェルディのオテロを同じシーズンに歌ったテノールはたぶんクンデだけではないでしょうか。輝くようなレッジェーロの声なのに力強く、気品のある知的な歌唱はとても凛々しく雄弁で、クンデが歌うとその作品の魅力が確実に何割か増しになるように思います!
もう60代ですが現役バリバリ、声も若々しく、今も次々と新しいレパートリーに挑戦を続けています。どうかこれからも長く歌い続けてくれますように。
お薦め動画
≪特集≫ 有名でないけど素晴らしい! フランスオペラの名デュエット集 by クンデ
●(1) ベルリオーズ 「トロイアの人々」 エネとディドの2重唱 "nuit d'ivresse" 2003年 パリ・シャトレ座
●(2) ロッシーニ 「ウィリアム・テル(ギヨーム・テル)」 アルノールとマティルドの2重唱
1995年 ロッシーニ・オペラフェスティバル
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●(3) マイアベーア 「アフリカの女」 ヴァスコとセリカの2重唱 2013年 フェニーチェ歌劇場
●(4) ドリーブ 「ラクメ」 ラクメとジェラルドの2重唱 "C'est le dieu de la jounesse" (音声のみ)
●ロッシーニ 「ウィリアム・テル」 アルノールのアリア "Asile héréditaire" (先祖より受継ぎし家)
●マイアベーア 「ユグノー教徒」 1990年 モンペリエ
●シャルパンティエ 「ルイーズ」 1992年
●ドリーブ 「ラクメ」 ジェラルドのアリア "Fantasie aux divins mensonges" 高貴な儚い幻影よ (音声のみ)
●ドニゼッティ 「連隊の娘」トニオのアリア ハイC 9連発の見事なこと!
●マイアベーア 「アフリカの女」 ヴァスコ・ダ・ガマのアリア おおパラダイス 2013年
●グノー 「ファウスト」フィナーレ (音声のみ) 2006年